(英エコノミスト誌 2014年12月20・27日合併号)

2015年の世界経済は、苦難が相次いだ1990年代末を彷彿させるものになりそうだ。

 ロシアで金融危機が発生する。原油価格が下落し、為替はドル高傾向にある。シリコンバレーは新たなゴールドラッシュに沸き、米国経済が復活を遂げる。ドイツと日本の経済は弱含みの状況にある。ブラジルからインドネシアに至るまで、新興国通貨が急落する。ホワイトハウスの主は、苦境に立たされる民主党政権だ――。

 これらの記述はいったい、2015年の世界経済の予想なのか、それとも1990年代末の状況を描いたものなのか?

1990年代末の世界経済

 近年の経済史についての記述は、2008~09年の信用収縮に塗りつぶされているため、その前の数十年間に何が起きたかは忘れられがちだ。だが、15年ほど前を振り返ることも有益と言える。その振り返りは、今後なすべきこと、逆に避けるべきことの両方ついて示唆を与えてくれる。

 当時も、現在と同様に、米国は既存の価値観を覆すようなデジタル革命の最前線に立っていた。インターネットの普及によりイノベーションが花開き、米国の将来に対しても楽観的な見方が広がった。

 1999年まで、米国の国内総生産(GDP)は年率4%以上と、先進国平均の2倍近いペースで成長を遂げていた。失業率も30年来の低水準である4%以下に下がった。投資家が海外から続々と参入し、ドルと株価の両方を引き上げた。S&P500株価指数の株価収益率(PER)は30倍近くにまで上昇した。特にハイテク株の急騰は著しかった。

 米国経済の明るさとは対照的に、世界の他の地域は不振に苦しんでいた。これも現在と通じる部分だ。日本の経済は1997年にデフレに突入した。ドイツは当時、「欧州の病人」と呼ばれ、同国の企業は硬直化した労働市場をはじめとする高コスト構造に縛られて身動きがとれない状況だった。

 飛ぶ鳥を落とす勢いだった新興国も危機に陥った。1997年から1999年にかけては、タイからブラジルに至る国々で、外国資本が流出し、ドル建て債務の返済が不能となる中で、通貨急落に見舞われた。

 最終的には、米国も問題にぶち当たった。2000年初頭にハイテク株バブルが弾け、株安は他のセクターにも波及した。企業投資は特にIT分野で落ち込み、株価の下落で消費者は出費を控えるようになった。2001年初めには、米国は大多数の他の先進国と同様に、それほど深刻なものではないものの、景気後退に陥った。