(2014年12月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

米配車サービス「ウーバー」、世界各地で問題 急成長にブレーキか

スペイン・バルセロナで、乗客を待つタクシーと、スマートフォンに表示された配車サービス「ウーバー(Uber)」のアプリ〔AFPBB News

 今年はウーバーの年だった。「すべての人がウーバーされる(Ubered)ことを心配し始めている」。広告大手ピュブリシスの最高経営責任者(CEO)、モーリス・レビ氏は今週、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)にこう語った。

 何十万人ものフリーランサーがタクシーを運転し、部屋を貸し出し(Airbnb=エアビーアンドビー)、洗濯物を洗い(Washio=ワシオ)、その他のサービスを提供するのをオンラインプラットフォームが調整するシェアリングエコノミー(共有経済)が到来した。

 企業がその脅威を認識する一方で、政府と規制当局は適応するのに腐心し、消費者は新種のビジネスを信用していいのかどうか分からずにいる。

大きく変わる働き方

 だが、最も大きな不確実性に直面しているのは労働者だ。個人事業主やベンチャー企業、1人の「マイクロビジネス」が労働人口に占める割合が高まるにつれ、労働者は以前より自由になり、以前より大きなリスクを抱えるようになっている。

 こうした人は研修や年金、医療保険などの福利厚生が付いた長期契約で9時から5時まで働く代わりに、自分で自分を雇用している。フルタイムの社員は夜にアルバイトをし、パートタイムの労働者は副業でタクシーを運転し、管理職は会社を辞めてコンサルタントになり、人々は複数のスキルを持つようになる。

 多くの人は挑戦を楽しむが、安泰と言える人は少ない。一方、我々は、21世紀の労働者には合わない、福利厚生や保険を提供する20世紀の仕組み――先進工業社会の特徴の1つ――から抜け出せずにいる。こうした厚遇を直接雇用に付与しながら、違う働き方をしたい人たちを疎外することのない新しい方法を至急見つける必要がある。

 その仕事の一部は政府の肩にかかっており、一部は19世紀の協同組合のような新種の共同体の責任となる。また、ウーバーのようなプラットフォームは、責任やコストを最小限に抑えるために距離を置いている準従業員に対し、もっと大きな責任を負わなければならない。さもなくば、著しく細分化し、不安定で、生計を立てられない労働力が誕生することになる。

 「定収入と社会的セーフティーネット(安全網)は、単に人が生活のために仕事をすることを通り越し、より質の高い存在を生み出すことに至った健全な経済の特徴だ」。ニューヨーク大学スターンスクールのアルン・スンダーラジャン教授はこう言う。「これが失われかねないことを心配している」