(2014年12月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

衆院選で与党が圧勝、投票率は記録的低水準に

総選挙が行われた12月14日夜、都内の自民党本部で記者会見する安倍晋三首相〔AFPBB News

 先週の日本の選挙では誰が勝つのか――。これは文法的におかしいのは言うまでもなく、馬鹿げた質問に思えるかもしれない。

 解散総選挙に踏み切った安倍晋三首相の賭けは見事に功を奏した。野党は不意を突かれ、景気後退の最中であらゆる予想を覆し、連立与党が衆議院で3分の2の「圧倒的多数」を維持した。

 そのうえ、首相は、女性5人が任命された内閣改造で自分が選ばれなかったことに腹を立てている自党内の政治家からの反乱の萌芽を撃退し、誰がボスかということを知らしめた。

 安倍氏は来年の自民党総裁選挙を楽々乗り切るだろう。そうなると、2018年暮れまで首相続投を妨げるものは何もなく、安倍氏の首相在任期間は過去半世紀で最も長くなる。この計算では、安倍氏は大いなる勝者だ。

 だが、日本の多くのことがそうであるように、少し深く掘り下げてみると、すべてが見かけ通りなわけではない。

衆院選の結果、安倍首相の野望に障害

 まず、安倍氏の自民党は実際、わずか4議席とはいえ、議席を減らした。52%という投票率は戦後最低だった。家から出なかった人の多くは、安倍氏に反対する票を投じていただろう――投票する相手が誰かいたとすれば。

 野党・民主党は混迷を極めており、複数の選挙区で候補者を擁立することができなかった。民主党は欠点を抱えているにもかかわらず、それでも11議席増やすことができた。

 大勝を収めたのは、自民党の連立相手である平和主義の公明党と、議席を2倍以上伸ばして21議席とした共産党だった。共産党はこれで、単独で法案を国会に提出できるようになる。その大半は恐らく保守派の安倍氏の好みに合わないだろう。ひょっとして、国会の議場での「インターナショナル*1」の強制斉唱とか? 

 安倍氏の心の中で最も大事な安全保障政策の点では、強力な仏教団体の支持基盤を持つ公明党の議席増加も同じくらい気がかりだ。ブッダが日本の平和憲法の改正を支持したという記録は残されていない。

*1=社会主義の革命歌