(2014年12月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

衆院選で与党が圧勝、投票率は記録的低水準に

政権をさらに4年間担う可能性を手にした安倍晋三首相〔AFPBB News

 小泉純一郎氏が2005年の総選挙で大勝利を収めて自民党内の反対派を黙らせた時、今後は抜本的な構造改革に次々に取り組んでいくのだろうと多くの人が予想した。

 ところが、そうした動きはあまり見られず、その1年後に小泉氏は静かに首相の座を降りた。

 それから10年近い月日が流れた。14日の選挙では与党が衆議院の大半の議席を獲得し、かつて小泉氏の支援を受けた安倍晋三氏が政権をさらに4年間担う可能性を手にした。

 2018年末まで首相の座にとどまることになれば、小泉氏の首相在任期間(5年半)を上回ることになる。

人によってとらえ方が違うアベノミクス

 また安倍氏は、アベノミクスと称される自身の経済政策――財政・金融両面での景気刺激策に供給サイドの改革を加えたもの――をさらに推進していくと見られる。安倍氏が首相をいつ退任することになっても、その際にはアベノミクスが成功したか否かが必ず問われることになるだろう。

 この問いの答えは、一般に思われているほど簡単なものにはなりそうにない。アベノミクスが意味するものは人によって異なるからだ。

 まず、アベノミクスの最大の目標は15年間に及ぶデフレから日本を脱出させることだと考える人がいる。早稲田大学の経済学の教授、若田部昌澄氏は「デフレは、少なくとも、日本の停滞の主たる原因の1つだ」と述べている。

 そう考える経済学者やエコノミストたちは、小幅なインフレになれば、対国内総生産(GDP)比で240%に上る巨額の公的債務の負担も、名目GDPが増えるにつれて小さくなっていくだろうと見ている。また、マイルドなインフレの下では消費者の支出や企業の投資も促され、経済成長率の押し上げに寄与するだろうと話している。