「死ぬまでおいしくご飯が食べたい」

 これって結構多くの人が願ってることじゃないでしょうか?

 でも現実にはそう簡単にはいきません。

 年を取ると、歯もなくなる、噛む力も弱る、飲み込みもできなくなる・・・どんどんおいしくご飯を食べるためのハードルが上がってきてしまいます。

 そうならないために何か心がけていることはありますか?

 歯磨きをきちんとする、よく噛んで食べる、筋トレをする、定期的に歯医者さんを受診する、などいろいろありますね。きっとみなさん頑張ってくれていると思います。

 しかしながら、それでも年を取るにつれて、虫歯や歯周病で歯を失ったり、のどの筋力が衰えてうまく飲み込めなくなったりして普通のお食事が難しくなってしまう方が増えてしまいます。もちろん、それを治療してお口から食事することをサポートするのが歯医者の仕事です。

 ですが、老化はお口の中だけではなく、全身にも進みます。歩けなくなったり、認知症が進んだり、1人では歯科医院に通院することも難しくなってしまうのです。もしご家族やヘルパー、施設のスタッフが連れて行ってくれたとしても、バリアフリーの歯科医院はまだ少ないので、車イスから治療椅子への移動など、介助者にも大変な負担をかけることになります。その上、全身疾患のある患者さんの歯科治療の専門知識がある歯科医師も決して多くありませんので、必要な歯科治療をうけられない可能性もあります。