本記事は12月1日付フィスコ企業調査レポート(IBJ)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
佐藤 譲
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すべての婚活サービスにおいて会員数が拡大

 IBJは婚活サイト「ブライダルネット」の運営からスタート。その後、全国の結婚相談所のデータをネットワークでつなぐ「日本結婚相談所連盟」を立ち上げたほか、合コン、お見合いパーティー等の企画運営を行うなど婚活を基軸として事業領域を拡大。同社が提供するサービスの利用者(婚活会員)数は約30万人と右肩上がりで増加しており、婚活サービス企業では国内最大規模となっている。

 11月14日に発表された2014年12月期第3四半期累計(2014年1月-9月)の単独業績は、売上高が前年同期比28.9%増の2,401百万円、営業利益が同49.1%増の466百万円と好調な決算となった。すべての婚活サービスにおいて会員数が拡大しており、ネットとリアルを融合した同社の事業戦略が奏効していると言えよう。また、通期業績見通しについては11月6日に上方修正を発表しており、売上高が前期比25.8%増の3,237百万円(前回予想比+187百万円)、営業利益が同42.0%増の639百万円(同+99百万円)に修正している。ただし、新しい通期業績見込みは、第3四半期までの計画上振れ分だけを加算したものとなっている。既に前提となる会員数は期初計画を上回る水準となっていること、9月に「日本結婚相談所連盟」に加盟する一部顧客向けの料金改定を実施し、売上増が見込めることなどから、通期業績に関してはさらに上振れする可能性が高いと弊社ではみている。

 2015年12月期以降も、業績は20%前後のペースで成長が続く見通しだ。既存サービスにおける会員数の増加が続くことに加えて、3つの成長戦略を推進していくことで収益を拡大していくことになる。第1に、婚活からライフデザイン(式場紹介、引越、保険等)への事業領域拡大、第2に同社が保有する会員データベースを活用したマーケティング支援サービスの強化、第3に海外市場での展開が挙げられる。特に、ライフデザインへの事業領域拡大に関しては、2014年より開始した式場送客サービスで実績が上がってきている。約30万人という同社の婚活会員数が潜在顧客となるだけに成長ポテンシャルも大きく、今後の展開が注目されよう。

 株主還元に関しては従前より、積極的に取り組んでいく方針を打ち出している。配当性向としては40%程度を目安とし、2014年12月期に関しては25円(配当性向39.3%)と連続増配を予定している。なお、同社は11月18日付で東京証券取引所第2部への上場と合わせて、12万株の株式立会外分売を発表した。経営者及びその親族からの売出しとなるが、株主数の増加を目的としたものとなっている。同社では2015年内の第1部上場を目指しており、株主数の増加に向けた株主還元策の拡充も今後期待されよう。

Check Point

●国内結婚相談所の約50%が同社設立の日本結婚相談所連盟に加盟
●メディア、サービス部門ともに好調で3Qは2ケタ増収増益
●配当性向は40%が目安、収益の拡大に伴う増配に期待

事業概要

国内結婚相談所の約50%が同社設立の日本結婚相談所連盟に加盟

 同社の事業セグメントはメディア部門とサービス部門に区分されている。このうちメディア部門は、連盟事業、メディア営業、コミュニティ事業、及びイベント事業の4つの事業で構成されている。一方、サービス部門はラウンジ事業のみとなっている。2013年12月期の事業別売上構成比はグラフのとおりで、ラウンジ事業とイベント事業がそれぞれ30%を超えている。各事業の内容については以下のとおりとなる。