(2014年12月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

数千の光の風船、ベルリンの夜空に 壁崩壊25年式典

11月9日、ドイツ・ベルリンのブランデンブルク門前で行われた「ベルリンの壁」崩壊25年の記念式典で、夜空に放たれる風船〔AFPBB News

 2014年は第1次世界大戦の開戦から100周年、ベルリンの壁崩壊から25周年を記念する年だった。

 前者は第2次世界大戦というさらに大きな惨事につながり、欧州は西側と共産圏に分断されることになった。後者はこの分断に終止符を打ち、完全かつ自由な欧州の誕生のしるしとなった。

 我々は今、歴史の大きな皮肉を見て取ることができる。ドイツは、かつて武力で手に入れようとした地位を平和的な手段で獲得したのだ。

 好むと好まざるにかかわらず、ドイツ連邦共和国は今や欧州の中心に位置する大国となっている。

否応なしに欧州の覇権国となったドイツ

 この世の中には、偉大さを持って生まれた人もいれば、生まれてから偉大さを勝ち取った人もおり、偉大さを否応なく身につけた人もいる。ドイツは今、この3つ目のパターンをたっぷりと経験している最中だ。

 では、ドイツはこの卓越した地位とどう折り合いをつけているだろうか。この問いの答えは、悪くはないが十分とは言えない、というものになるだろう。

 ドイツは、国としての規模や地理的な位置だけで傑出しているのではない。製造業で力を蓄えたというだけでもない。ドイツが欧州の大国の中でも際立っているのは、最も安定した大人の民主主義国家であることだろう。ほかの国々とは違い、この国は外国人嫌いのポピュリズムに悩まされていない。またアンゲラ・メルケルという非常に分別のある、責任感も強い指導者もいる。

 このような成功を収めてはいるものの、何もかもがうまくいっているわけではない。

 ユーロ圏の経済は不況と超低インフレに陥っているが、ドイツの政策立案者の多くは、この状況の改善を目指した取り組みに抵抗している。その結果、非常に多くの人々にとって、鳴り物入りで宣伝された欧州プロジェクトはより良い生活への希望ではなく、その正反対を意味するものとなってしまっている。