(英エコノミスト誌 2014年12月6日号)

ユーロ圏の最新メンバーは苦しい戦いに直面することになる。

空飛ぶピアノ・コンサート!? リトアニア首都上空

リトアニアの首都ビリニュス〔AFPBB News

 リトアニアは来年1月1日に19番目のユーロ圏加盟国となる。

 バルト海沿岸の小国で人口300万人のリトアニアは、欧州で最も急成長を遂げている経済国の1つだ。ユーロ圏は景気後退とデフレの瀬戸際に立たされている。では、リトアニアはなぜ単一通貨を導入したいのか?

 ユーロバロメーターの最近の調査によれば、ユーロ導入を望んでいるリトアニア国民は全体の半数に満たない。だが、ユーロ創設後に欧州連合(EU)に加盟したすべての国と同様、リトアニアはユーロ導入の義務を負っている。

 2002年以降、リトアニアは通貨リタスをユーロにペッグ(固定)してきた。2007年にもユーロ導入を目指したが、リトアニア経済がユーロ圏経済とずれているという理由で却下された。

ユーロ圏の低迷を横目に堅調な成長を遂げるリトアニア

 その状況は今も変わらない。2011年以降、ユーロ圏は停滞している。一方、リトアニアの国内総生産(GDP)は年間4.3%のペースで成長した。対GDPの政府債務はEU加盟国の中で最も低い部類に入る。

 さらに、この見事な実績は、大半のユーロ圏諸国が避けてきた類の抜本的な改革の結果だ。2009年の国内金融危機――信用バブル崩壊の後遺症で、その間、GDPが15%縮小し、失業率が18%に達した――を受け、リトアニアは即座に緊縮財政に踏み切った。

 2009年から2013年にかけて、政府はGDP比10.5%相当の支出を削減した。どのEU加盟国をも上回る規模だ。リトアニアは財政赤字もGDP比9.3%から同2.6%に減らした。

 リトアニアの政策立案者たちは、それでも同国はやはりユーロを必要としていると主張する。いつも憂鬱な表情を浮かべ、ベストを身に着けているビタス・バシリアウスカス中央銀行総裁とリマンタス・シャジュス財務相はともにユーロをほめそやす。両氏は、ユーロのおかげで政府がより安価に資金を借りられるようになると考えている。

 やはりバルト海沿岸国のエストニアが2011年にユーロを導入した時、同国の信用格付けは数段階引き上げられた。まるでタイが台湾に姿を変えたしたようなものだ。