原油価格が暴落している。その背景に、ここ20年ほど続いてきた中国の奇跡の成長が終わり始めたことがある。

 図1に世界のエネルギー消費量の変遷を示す。現在、世界では石油換算で120億トン余りのエネルギーが使われているが、その約半分を先進国(OECD諸国)が使っている。OECD諸国の人口は12億人、世界の5分の1でしかない。

図1 世界のエネルギー消費量
(単位:石油換算で億トン、データ:世界銀行)

 図1では開発途上国を中国とそれ以外に分けて示した。1990年頃から中国の消費量が異常な勢いで増えていることが分かろう。特に2000年代に入ってからの増加は著しい。2002年から2011年までの10年間の平均増加率は8.7%にもなるが、中国以外の途上国の増加率は3.2%に留まる。

 中国の2001年の石油輸入量は6000万トンに過ぎなかったが、2012年には2億7000万トンにもなった。約10年で4倍。エネルギー価格高騰の背景には、中国の急激な需要拡大があった。