(2014年12月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ブルガリア、内閣総辞職 電気料金急騰に抗議するデモが拡大

2013年2月に起きた電気料金の高騰に抗議するデモは内閣を総辞職に追い込んだ(写真はブルガリア・ソフィアで機動隊に投石するデモ参加者)〔AFPBB News

 2012年1月にブルガリアで環境保護主義者が街頭デモを繰り広げた時、ボイコ・ボリソフ首相が折れ、政府が米石油大手シェブロンに与えていた、同国随一の小麦生産地でのシェールガス探査の認可を撤回するまで1週間程度しかかからなかった。

 その13カ月後、電気料金と燃料価格の急騰が引き起こした別の抗議デモの波がボリソフ氏率いる中道右派政権を崩壊させた時には、欧州連合(EU)最貧国のブルガリアで、ついに市民社会が成熟したように見えた。

 しかし、ブルガリアの首都ソフィアでは、ロシアが自国の目的のためにデモの扇動に手を貸したと考える人もいる。

 こうした人たちは、デモ参加者を送り込み、シェール開発に反対するメディアキャンペーンに資金を出した地元団体とクレムリンの関係を指摘する。その目的は、ロシアのエネルギーに対するブルガリアの依存度を下げるような政策を追求したことで親欧米派のボリソフ氏を罰することだったと彼らは考えている。

 「これは、ロシアとつながりのある地元企業、オリガルヒ(新興財閥)、利益団体によって練られた周到なシナリオだった」。元ブルガリア内相で、ボリソフ氏の側近であるツベタン・ツベタノフ氏はこう言う。

 他のブルガリア高官もロシアの関与を主張しているが、自分の身元が特定されたり、ロシア政府がブルガリアの政党に資金提供しているという主張を裏付ける確かな証拠を出したりすることを拒む。

東欧、バルカン半島に広がるロシアの野望への不安

 それでも、このエピソードは、欧州各国の政府を襲う大きな不安を体現している。つまり、ロシアは東欧とバルカン半島における支配力を取り戻すために、プロパガンダからエネルギー供給、現金に至るまで、さまざまな道具をどんどん利用しているということだ。

 ブルガリアでデモがあった当時の北大西洋条約機構(NATO)事務総長、アナス・フォー・ラスムセン氏は、一部の加盟国が、シェールガス開発に反対してロシアが実行した「高度な情報作戦と誤情報宣伝工作」を報告したと話している。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、先頃オーストラリアで行われた主要20カ国・地域(G20)首脳会議の際、クレムリンの野心はウクライナを越え、欧州南東部の脆弱な国々に及んでいると警告した。米国とブルガリアの外交官も、かつてソ連の盟友だったブルガリアになお浸透しているロシアの影響力の奥深さについて心配している。