(2014年12月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 原油価格の下落は、エレーナ・ゴンサレスさんを個人的に直撃した。年金生活者のゴンサレスさんは、ベネズエラの国営スーパーマーケットでの物資不足と「行列、行列、行列」のせいで、体重が10キロ減ったと言う。

 「食料だけじゃないんです。薬もなんですよ」。首都カラカスの店の前で列に並んで待ちながら、彼女はこう話す。「今度の原油安で、この先ほかに何が待ち受けているのか身構えているところです」

原油安による輸入減少で深刻な物資不足に拍車

 苛立つ買い物客の行列は、社会主義者の集会やウゴ・チャベス前大統領のポスターに取って代わり、南米ベネズエラで最もお馴染みのイメージの1つになった。アナリストらは、石油輸出国機構(OPEC)が先週、原油価格を押し上げるための減産を求めるベネズエラの運動を退けた後、状況が一段と悪化すると見ている。

 原油はベネズエラの輸出収入の96%を占め、ベネズエラは原油価格が1バレル当たり1ドル下落するごとに、およそ7億ドルの損失を被る。地元のコンサルティング会社エコアナリティカによると、今夏以降、原油価格が30%下落したことは、2年前は770億ドルだった輸入総額が今年は約430億ドルに落ち込むことを意味しているという。

 輸入の減少は、すでにインフレに痛めつけられており、今年3%縮小することが予想されているベネズエラ経済の物資不足をいっそう悪化させるだろう。

ベネズエラ大統領選、マドゥロ氏が勝利

支持率を落としているニコラス・マドゥロ大統領〔AFPBB News

 「原油価格の下落は、チャビズモ史上最悪のタイミングで訪れた」。カラカスの著名アナリスト、ルイス・ビンセント・レオン氏は、昨年死去したチャベス前大統領が導入した統治思想に言及してこう語る。

 チャベス氏の後を継いだニコラス・マドゥロ大統領は、原油安に対して平静を装ってみせた。「原油価格の下落の打撃を、私は悪く受け止めていない」。大統領は11月28日のテレビ演説でこう語った。

 「私は原油安を余分な贅沢と不必要な支出を削減するチャンスとして捉えている」。政府支出と自身の報酬の削減を命じ、大統領はこう付け加えた。ただし、社会プログラムは削減しないと強調している。