(2014年12月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

戦車など数十台、ロシアから越境 ウクライナの親露派地域に入る

ウクライナ東部ではまだ戦闘が続き、経済活動が大きく落ち込んだ〔AFPBB News

 ウクライナは西側政府からの対応を緊急に必要とする極めて困難な金融危機の真っ只中にある。ロシアによるクリミア併合とウクライナ東部への軍事介入を受け、ウクライナに対する安全保障の脅威が西側諸国の最大の関心事かもしれない。

 だが、ウラジーミル・プーチン大統領の軍事的戦術は一義的に、ウクライナ政府を不安定にさせる経済的メルトダウンを煽ることを意図しているように見える。西側政府と国際通貨基金(IMF)は今、ウクライナを金融崩壊の瀬戸際から引き戻すために早急に行動する必要がある。

 ウクライナ経済は多くの面で追い詰められている。ウクライナ軍とロシア軍の戦闘は、東部地域の炭鉱と製鉄所の生産停止をもたらした。ロシア政府はウクライナに制裁を科し、天然ガスの供給を停止すると脅している。その結果、今年の国内総生産(GDP)は少なくとも7%縮小する見通しだ。

 10月末には、ウクライナの外貨準備高が126億ドルに落ち込み、支払い能力の重要な節目となる水準を割り込んだ。この有害な組み合わせがソブリン債務のデフォルトの懸念を増大させ、新たな国際救済を求める声を引き起こしている。

メルトダウンを回避するために150億ドルの緊急支援を

 今年5月には、他の支援国・機関からの100億ドルに加え、国際通貨基金(IMF)が170億ドルの金融支援を約束した時にメルトダウンが回避された。だが、この合意が成立したのは、ロシアの支援を受けた分離派がウクライナ東部で戦闘をエスカレートさせる前のことだった。

 西側の専門家によると、今やウクライナ経済を安定させるためには、120億ドルから150億ドルの追加の対外資金調達が必要だという。しかし、支援国・機関は追加援助に消極的なようだ。

 支援を渋るのは理解できる。ウクライナは慢性的な不安定に直面しており、モスクワとキエフの間で和平が目先達成される見込みはない。その結果、ウクライナは多額の資本流出と外貨準備の枯渇に苦しんでいる。 IMFや支援国の高官はそのために、ウクライナに数十億ドルの追加資金を注ぎ込むことに一体どんな意味があるのかと首を傾げるかもしれない。