先週の米国株式市場
―ダウ平均小幅に最高値更新 年末商戦への期待高まる―


<先週の概況>

先週の米国株式市場はダウ平均やS&P500が小幅に史上最高値を更新、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も年初来高値を更新しました。

OPEC(石油輸出国機構)が原油の減産を見送ったことで原油先物価格が大きく下落したことからエネルギー関連株が大きく売られたものの、ガソリン価格の値下がりは個人消費の拡大につながるとして年末商戦への期待が高まり、小売企業などが買われました。




米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用銘柄のうち先週の上昇率が2位だったインテル(INTC)が今週も5%近い上昇で上昇率首位となりました。また、年末商戦への期待からウォルマート・ストアーズ(WMT)が買われ、3%を超える値上がりとなりました。

<下落>

原油価格の大幅な下落により、シェブロン(CVX)とエクソン・モービル(XOM)の原油大手2社が大きく下落しました。また、先週大きく上昇した建機大手のキャタピラー(CAT)の下落も目立ちました。

先週発表された主な経済指標

25日 カンファレンスボード消費者信頼感指数 11月 88.7 市場予想 96.0 前月 94.1

25日に発表された11月のカンファレンスボード消費者信頼感指数は88.7と市場予想を大きく下回り、前月から悪化しました。構成項目である期待指数が前月の93.8→87に大きく悪化しました。

水準としては9月の89.0とほぼ同水準で、現時点で過度に懸念する必要はないと考えられますが、年末商戦を前に消費者センチメントが悪化した点はやや気がかりです。


今後発表される主な経済指標

11月 非農業部門雇用者数(前月差) 市場予想 +22.8万人 前月 +21.4万人
11月 失業率 市場予想 5.8% 前月 5.8%

今週は重要な経済指標が多く発表されます。まず、1日にISM製造業景況感指数、3日にISM非製造業景況感指数と地区連銀報告(ベージュブック)、そして5日には雇用統計が発表されます。

労働市場の先行指標である新規失業保険申請件数は減少(望ましい)傾向が続いており、雇用統計も堅調な内容が期待されています。

市場予想では、非農業部門雇用者数は労働市場の堅調な回復の目安とされる前月差20万人増を上回る22万8000人増が予想されています。


マーケットビュー
―重要指標の発表多く ダウ平均は1万8000ドルにタッチも―

先週のマーケットビューでは年末に株高傾向となるアノマリーをご紹介しました。今年もそのアノマリー通りとなるかご注目ください。

このところダウ平均は最高値更新とは言え小幅な値動きの日が多く、やや上値の重さが意識されつつありますが、今週は1日にISM製造業指数、3日はISM非製造業と地区連銀報告、さらに5日に雇用統計と重要な経済指標の発表が多く、指標の発表を受けて大きな値動きが出てくる可能性があります。

ダウ平均は28日時点の終値が1万7800ドルを超えており、各指標が堅調な内容となれば1万8000ドルにタッチという可能性もありそうです。なお、ISM製造業景況感指数の先行指標である各地区連銀の発表する11月の製造業景況感指数は、ニューヨーク・フィラデルフィア・カンザスシティが改善した一方リッチモンドは悪化、ダラスは横ばいという結果となっており、3勝1負1分けと、ISM製造業指数も好内容が期待できそうです。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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