(2014年11月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

英首相、全国で地方分権推進を約束、スコットランド独立否決

デビッド・キャメロン首相は図らずも英国をEU脱退へ駆り立てているように見える〔AFPBB News

 英国が人の移動の自由という欧州連合(EU)の原則を理由にEUから脱退することは筋が通るのか? 答えは「ノー」だ。

 確かに、英国のEU加盟が大きな問題であるように、移民も大きな問題である。だが、移民問題がEU加盟の議論を左右することがあってはならない。そうするには、どちらも重要すぎる問題だ。

 だが、英国のデビッド・キャメロン首相は他のEU加盟国との議論で、ますます自身を窮地に追い込んでいる。

 これはもっぱら、選挙での英国独立党(UKIP)の成功に対する与党・保守党のヒステリーの結果だ。また、キャメロン氏率いる保守党内に、EUから脱退するための口実なら何でも歓迎する派閥が存在するためでもある。

移動の自由の適用免除求めるキャメロン首相、このままでは「Brexit」か

 この入り混じる不安と敵意がキャメロン氏を、EU創設の基盤となった条約の移動の自由の原則の適用免除を求めるという、確保できる見込みのない要求へと駆り立てている。

 来年の総選挙の後に首相になれば、キャメロン氏は実施を託されている国民投票でEU脱退に反対票を投じるよう訴える運動を展開せざるを得なくなる。その場合、可能性の高い結果は「Brexit(ブリグジット、英国のEU脱退)」である。

 2014年6月までの1年間に英国が前年比43%増という移住者の純流入を記録したというニュースは、この火に油を注ぐだろう。直近12カ月間で26万人の純流入という数字は、暦年ベースの過去の記録をすべて上回っている。これは純流入数を10万人以下に減らすという政府の公約を馬鹿げたものに見せる。

 だが、連立与党にはこの約束を果たす術がなかった。それと全く同じように、EUにとどまっている間はEU域内からの移民を制限することは許されない。カヌート王が教えてくれたように、実現できないことを約束をするのは愚かなことだ。しかし、カヌート王は教訓を与えようとしていた。キャメロン氏はそうではない。