(2014年11月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 ムンバイ南部の地下のジム。薄型テレビで音楽チャンネルの放送が大音量で流れる中で、土曜の夜遅くに4人の若い男性が運動に励んでいる。彼らは体型を保つことに熱心なインドの新興中間層の一員だ。

 「大勢の人が以前より健康を意識するようになっている」。年会費1万3500ルピー(218ドル)のこのジムでトレーナーを務める47歳のディネシュ・バーンダリ氏はこう話す。「社会的に、誰もが見栄えを気にする」

3年間で市場が2倍近くに急拡大

 その理由がボリウッド映画のしなやかな女優とたくましい男優への執着であれ、可処分所得の増加と健康問題への意識の高まりの組み合わせであれ、アジア第3位の経済規模を誇るインドではジムに対する需要が急激に高まっている。

 コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパース(PwC)とインド商工会議所連合会(FICCI)の調査によると、インドのフィットネス・痩身産業の規模は2012年の600億ルピーから、2015年には少なくとも1000億ルピーに拡大する見通しで、グローバルなジム運営会社がこの急成長市場の大部分を獲得することを狙っているという。

ムスリム女性もジム通い、インド

インドのアーメダバードのジムで運動をするムスリム女性たち〔AFPBB News

 今週、英国に本拠を構えるフィットネス・ファーストは、今後5年間で16億ルピー投資し、現在7つあるジムの店舗網に新たに30店舗加える野心的な計画を発表した。

 同社最高経営責任者(CEO)のアンディー・コズレット氏は「恐らく転換点が存在する。動きを速めるべきタイミングは、まさに今だ」と言う。

 ゴールドジムのようなジム運営会社や、館内のフィットネスセンターを会員に開放しているソフィテルのようなホテルチェーンなどのグローバル企業は、より伝統的なインドのフィットネスサービスと競争している。

 ヨガのパーソナルインストラクターや、旧世界のジムカーナ、充実した運動設備を備えた会員制クラブなどだ。

運動するなら、やはりボリウッド音楽

 グローバルなジムブランドはこれまで、自社サービスをインドの観客に合わせて大きく変えていない。各社によると、インドの消費者は海外の仲間たちとほぼ同じものを望んでおり、インド国内の多くの競合ジムは、基本的な装備しかない薄汚い施設で運営しているという。

 だが、フィットネス・ファーストは、インドの利用者がエクササイズの社会的側面に引かれていることに気づいた。利用者の訪問回数のおよそ3分の1はグループトレーニングだ。この数字は英国やその他の先進国よりはるかに高く、フィットネス・ファーストがインド人の好みに合わせてクラスのメニューを調整するにつれ、一段と増加しているという。