(2014年11月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

モバイルアプリで変わる都会のタクシー事情、米国

米ワシントンで、配車サービスのスマートフォンアプリ「Uber(ウーバー)」を手に、車の前でポーズをとるドライバー〔AFPBB News

 配車サービス会社ウーバーの幹部で元米国防総省アドバイザーのエミル・マイケル氏を取り巻く物議は、ウーバーの倫理に疑問を投げかけただけでなく、同社が採用する元政府高官の増加ぶりも浮き彫りにした。

 マイケル氏は今週、ウーバーは同社に批判的なジャーナリストの私生活を探るために100万ドルかけてもいいと示唆し、メディアをにぎわした。

 この発言はシリコンバレーで反発を買ったが、マイケル氏がかつて国防長官の特別顧問として働き、現在も国防総省の企業諮問委員会に名を連ねるワシントンでは、オポジションリサーチ(対立候補など敵対する相手の調査)はもっと普通のことだ。

規制当局と対立する場面が増え、パイプを持つ人を起用

 ワシントンとウォール街の間で人が行き来する「回転ドア」は、何年も前からくるくる回転してきた。ウーバーの最近の人材採用は、元政府高官がシリコンバレーに機会を見つけている様子を浮き彫りにしている。ハイテク企業では、国家安全保障からウーバーの場合は運輸法まで、さまざまな問題に関して規制当局と対立する場面が増えており、各社が元政府関係者に助けを求めているからだ。

 ウーバーは、2009年の創業直後から規制当局にビジネスモデルを批判されてきた。「ウーバーは急いでアクセスを得る必要があった。最善の方法はパイプを持った人を大勢雇うことだ」。サンライト財団でロビー活動の調査にあたるビル・アリソン氏はこう話す。

 特に注目されたのは、バラク・オバマ大統領の元顧問、デビッド・プロフ氏が今年、政策と戦略に取り組み、一般市民や規制当局との対応を手助けするためにウーバーに入社したことだ。

 ウーバーは、5月に政策チームの幹部メンバーとしてアシュウィニ・チャブラ氏を起用した時にも大きな成果を上げた。チャブラ氏は、ウーバーが挑戦している規制当局の1つ、ニューヨーク市タクシー・リムジン委員会で政策・企画担当の副委員長を務めていた人物だ。

 ウーバーと関係のある他の元政府高官の1人が、ロバート・ゲーツ元国防長官だ。同氏は、退役軍人を運転手として採用するウーバーの軍事プログラム諮問委員会でボランティアの会長を務めている。ウーバーが抱える6人の連邦公認ロビイストのチームは、元政府関係者で構成されている。ロビー活動の専門家は、これはハイテク企業でも珍しいと言う。