(2014年11月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 英国のデビッド・キャメロン首相は「世界経済のダッシュボードにある赤い警告灯が再び点灯している」と述べている。今回の警告灯は2008年の時ほど赤くはない。

 とはいえ、キャメロン政権が推奨している緊縮財政がもたらす困難は、日本とユーロ圏で特に明らかになっている。

驚くほどの鈍い高所得国の需要回復

 景気が低迷しているこれらの高所得国は今や、世界経済の最も弱い環になっている。その理由を理解するには、今日の経済が抱える最も重要な病、すなわち慢性的需要欠乏症候群を分析しなければならない。

オバマ米大統領、次期財務長官にルー氏を指名へ

米国のジャック(ジェイコブ)・ルー財務長官〔AFPBB News

 米国のジャック・ルー財務長官は、先週末にオーストラリアで開催された主要な高所得国20カ国・地域(G20)の首脳会議に向かう途中でシアトルに立ち寄って講演し、聴衆がはっとするような厳しい見方を披露した。

 それによると今日の世界経済は、2009年にピッツバーグの首脳会議で約束された「強固で持続可能かつ均衡ある」成長にはほど遠い状況にある。

 世界経済の回復は「一様でなく、たどる軌道が大幅に異なっている」とルー氏は指摘した。「米国では、内需が2012年第1四半期に金融危機前の水準を突破し、現在は危機前の水準を約6%上回っている。日本と英国の内需も約2%上回っている」と付け加えた。

 「しかし、ユーロ圏の需要は危機の間の落ち込みをまだ回復しておらず、危機前の水準を4%以上下回ったままだ」

中央銀行は歴史上最も積極的な金融政策を取ったが・・・

 ここでルー氏が付け加えなかったことが1つある。それは、この弱々しい景気動向――6%という米国の実質需要の増加でさえ6年以上の歳月がかかっており、過去の基準に照らせばお粗末だ――は、歴史上最も積極的な金融政策が取られていたにもかかわらず生じたということだ。

 米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、および英イングランド銀行の市場介入金利は、2008年後半以降、0%を大きく上回ったことがない。ECBは2011年にこれを1%超の水準に引き上げようとしたものの、その後、0%近辺に引き戻されてしまった。日銀は0%に近い金利水準を20年間続けている。