本記事は11月11日付フィスコ企業調査レポート(パイプドビッツ)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
寺島 昇
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中計達成へ向け「新規事業」「人材」を軸に積極投資

 パイプドビッツ<3831>は自社製品である「SPIRAL(スパイラル)」というプラットフォーム(ミドルウェア)をクラウド型で提供するユニークなIT企業である。中堅企業・大企業向けプラットフォームの提供だけでなく、特定の業界(美容業界や建築業界等)向けに自社開発したアプリケーションの販売も行っている。

 2015年2月期の第2四半期(3-8月)業績は売上高1,512百万円(前年同期比25.6%増)、営業利益305百万円(同37.7%増)、経常利益304百万円(同35.8%増)、四半期純利益176百万円(同29.5%増)となり、前年同期比で増収・増益となっただけでなく、期初計画も上回った。進行中の2015年2月期は売上高3,200百万円(前年比27.1%増)、営業利益700百万円(同23.9%増)、経常利益700百万円(同23.7%増)、当期純利益420百万円(同22.6%増)が予想されており、期初予想を据え置いた。

 また2014年3月に、2017年2月期を最終年度とする新たな中期経営計画を発表しているが、この最終目標は売上高9,200百万円(2014年2月期比約3.7倍)、営業利益2,800百万円(同約5.0倍)となっている。かなり高い目標と言えるが、同社は「次世代ITベンダーへと革新する3ヶ年」を掲げ、「新規事業の発掘と育成」「人材の積極的な採用と育成」を軸に積極的に投資を行うとしている。同社が事業ドメインを置く業態から達成は十分可能と考えられ、今後の有効アカウント数の動向や、M&Aの展開などからは目が離せないだろう。

Check Point

●「SPIRAL」は業務効率化と導入コスト、セキュリティ面で優位性
●今期予想は経費増を見込んだ数値、目標達成は高い可能性
●経営判断の迅速化、積極的なM&A、人材採用・育成が重要施策

会社概要

「情報資産」の安全な管理・有効利用のため「SPIRAL」を開発

(1)沿革

 同社は、現在の代表取締役社長CEOである佐谷宣昭(さたにのぶあき)氏によって2000年4月に設立された。多くの企業にとって、その顧客の属性やメールアドレスなど、事業上知り得たデータは重要な「情報資産」であり、これらの「情報資産」を安全に預かると同時に有効利用するサービスを事業として始めたのである。この事業を行うために自社開発したのが、情報管理のためのプラットフォーム「SPIRAL」である(詳細後述)。その後、この「SPIRAL」を中心に各種のアプリケーションを開発し、これらの応用事業を展開しつつ現在に至っている。