(2014年11月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国の夢の国産旅客機C919、欧米大手との競合目指す

中国商用飛機(COMAC)の国産ジェット旅客機C919最終組み立て場に展示されたC919の模型〔AFPBB News

 世界市場で競争力を持つ乗用車を開発するにはまだ至っていないが、月面への探査機の着陸には今年成功した中国の国家・産業複合体は、今日では国産の商用旅客機を飛ばし、ボーイングとエアバスによる複占状態に風穴を開ける試みに力を注いでいる。

 中国国有の旅客機メーカーである中国商用飛機(COMAC)は小型の地域ジェット機「ARJ21」と、それより大型の単通路機「C919」を開発している。どちらのプロジェクトも数度の遅延が生じているが、中国南部の珠海で11日に始まった同国最大級の航空ショーでは、かなりの注目を集めることになる。

 ARJ21は6年前に処女飛行を果たしたものの、商業飛行を開始するにはまだ至っていない。またCOMACは昨年、C919の処女飛行と機体の引き渡し(当初計画はそれぞれ2014年と2016年)が少なくとも1年遅れることを確認している。

世界最大の航空機市場になる中国、国産機に大きな期待

 中国政府はこの2つの航空機について、経済面で非常に大きな期待をかけている。C919をベースにし、ロシアと共同開発される可能性がある広胴機「C929」についても同様だ。ボーイングは今年9月、2033年までには中国が米国を上回る世界最大の航空機市場になるとの見通しを明らかにした。中国の航空会社は今後20年間で約6000機(大半が単通路機)、額にして8700億ドルの航空機を購入するとの見立てだ。

 「中国政府は、今後20~30年間に購入される新しい商用機の半分を中国の航空会社が買うことになると見ている」。マクドネル・ダグラスの元幹部で、外国企業と中国企業とによる航空機関連合弁事業にかつて数多く関与したフィリップ・カーマイケル氏はこう語る。「だから、中国はすべてをボーイングやエアバスから買うのではなく、一部は国内企業から買いたいと思っている」

 技術面から見ても財務面から見ても、COMACはその野望を実現できそうな状況にあると業界幹部らは指摘する。ただ、実現にはまだ数年かかかるかもしれないという。

 「10~20年後にはCOMACの飛行機があちこち飛び回ることになるという感じだろう」。中国の国有航空機関連メーカー数社と仕事をしているために、匿名を希望したある幹部はこう語る。

 「国家的な野心、例えば月に行こうというような話であれば、経済的・商業的な面で分別を働かせる必要はない」。この人物はそう付け加えた。「だが、COMACの案件は現実的で達成可能だ。それに、この種のプロジェクトがイノベーションを推進することを考えれば、COMACの案件からは、現時点ではまさに思いもよらない成果が得られることになるだろう」