(2010年8月14/15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
今は2003年であるかのように心配すべき時のようだ。米連邦準備理事会(FRB)は8月10日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、景気に対する「テロ警戒レベル」を引き上げ、金融緩和スタンスを維持するために国債の購入を続けると宣言して市場を驚かせた。
米国では冴えない経済指標の発表が続いており、少しずつ梯子を上ってきた米国経済が再びずり落ちてしまう可能性が高まっている。また、実際の生産と潜在的な生産力の差(アウトプットギャップ)が拡大するにつれ、米国が紛れもないデフレに突入するという、小さいとはいえ無視できない可能性も高まりつつある。
2003年以来のデフレ懸念
8月10日のFOMCを受け、市場は大きく反応した〔AFPBB News〕
デフレに対する恐怖心がこれほど強まるのは2003年以来のことであり、今回も当時と同様に、金融政策(特に量的緩和とその他の異例な政策手段)にまつわる不確実性が市場で強い反応を引き起こしている。
この状況からは2つの結論を導けるだろう。
第1の結論は、FRBは小幅なニュアンスの変更が極めて大きな市場の反応(それも時に間違った方向の反応)を引き起こす事態に備える必要があるということ。
第2の結論は、現在は金融政策が球場で孤軍奮闘しており、コーチ陣の意見分裂に見舞われた財政政策は、政治という近視眼的な審判に退場を命じられ、やむなくベンチを温めているということである。
FRBが2003年に展開したデフレ回避作戦は最終的には成功したが、欠陥がないわけではなかった。例えば、市場の反応を引き起こすメッセージの取り扱いを誤ったために、意図せざる2部構成のトリックを実行する場面があった。
政策金利を据え置いた同年5月のFOMCでは金融状況を緩和させる一方で、利下げに踏み切った翌6月のFOMCでは思いがけなく金融状況を引き締めることになってしまったのだ。
金融政策の舵取りを難しくする不合理な市場の反応
先日のように市場が不合理な反応を示す時には、金融政策の舵取りはますます難しくなる。現在の債券相場は、経済成長とインフレは中期的に低位またはゼロにとどまるという投資家の現実的かつ一貫した見方を示しているが、10日のFRBの発表に対する投資家の反応はこれとは矛盾するものだった。
発表直後に見られた反応の中には、完全に理解できるものもあった。例えば米国の長期金利は下がり続け、10年物米国債の利回りは2.8%を割り込んだ。少なくともこれは理にかなっている。
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