米価が下落しています。購買力平価を考慮した実質米価は1俵あたり1万3000円を割るという、戦後最低水準を更新しました。1俵は約60キロなので、一般に使われる30キログラム入るコメの出荷袋に換算すれば6000円ほど。いよいよ、大規模コメ農家の大崩壊が始まる水準まで下落したと言えそうです。(参考:「米価は歴史的な低水準」、森島賢、農業協同組合新聞)

 これまで筆者の連載を読んでこられた読者なら「コメの価格が下がったら大規模農家だけが生き残る」といった考えが間違いであることはご理解いただけていると思いますが、そうでない方のために再び解説をしておきましょう。

 表をご覧ください。これは、米価と栽培面積によって、どの程度の収益が上がるのかを示しているものです。10アールあたりの収穫量を510キロ(30キログラム入り米袋で17袋)とした場合の売り上げから、生産費を引いたものです。栽培面積ごとの生産費の算出には、農水省が公開している「規模模別平均生産費」を使用しています。赤い字は文字通り“赤字”であることを意味します。

米価(円/30キログラム)と栽培面積(ヘクタール)によってどの程度の収益が上がるのか

 まず、米価1万円(1俵あたり2万円)の欄をご覧ください。このくらいの価格水準ですと、生産を倍にすると倍以上儲かる「規模の利益」が働いていることが分かります。「コメも大規模にしたらコストダウンができて儲かる」という、よくある主張は、この程度の価格水準ですと確かに正しいのです。