(英エコノミスト誌 2014年11月8日号)

首相は好機を与えられた。それを生かすだろうか?

集団的自衛権の行使容認、閣議決定

日銀の追加緩和はアベノミクスに新たな息吹を吹き込んだ〔AFPBB News

 日銀が10月31日に予想外の動きに出た時、その効果は世界の金融市場を活気づけ、国内ではデフレからの脱却を目指す安倍晋三首相の政策に新たな息吹を吹き込んだ。

 中央銀行の対策の大きさ――日銀は紙幣を増刷し、国内総生産(GDP)の16%に相当する年間80兆円の国債を買い取る――は、人の気を散らす一連の閣僚の不祥事から政治を引き離した。

 安倍氏の経済政策は勢いを失いつつある。4月の消費税引き上げは、憂慮すべき消費支出の落ち込みを引き起こした。インフレの最初の芽は萎み始めた。4月に1.5%まで上昇したコア・インフレ率は、9月に1%に低下した。日銀が2015年春までに達成すると言っていた目標の2%を大きく外れている。

 一方、日銀の保守的な守旧派が影響力を取り戻し、黒田東彦総裁がデフレ脱却のために「何でもやる」という約束を果たすのを阻止する可能性があるという噂を広める人もいた。

 実際、黒田氏は僅差で辛うじて日銀の対策に同意を得た。10月31日の金融政策決定会合では、9人の政策委員のうち4人が量的緩和の拡大に反対票を投じた。このコンセンサスの欠如は、金融緩和それ自体とほぼ同じくらい大きな波紋を呼んだ。

消費税の追加引き上げを巡る決断

 だが、日銀の動きは、日本の政策立案者の間のもう1つのコンセンサスを強める。安倍氏が間もなく来年10月の8%から10%への2度目の消費税引き上げを断行せざるを得なくなるというコンセンサスだ。

 追加増税を見送るのであれば、税率引き上げを止める法案を通すために、安倍氏は年末までに決断しなければならない。GDPが年率換算で7.1%減少した惨憺たる第2四半期の後、安倍氏の経済顧問の多くは最初の増税が間違いだったと確信している。

 戦いは、膨れ上がる日本の公的債務に対処するために消費増税を強く求める財務省と、予定を変更する方向に傾く首相官邸との間で繰り広げられている。経済改革を担う主要閣僚の甘利明氏は、予定通り実施することを支持しているように見える。