(2014年11月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 かつてないほど高い超高層ビルを建設する競争がエレベーターメーカー同士の戦いに火をつけた。分速4000フィート(約1.2キロ)という記録破りのスピードの次世代エレベーターを開発する戦いだ。

 三菱、日立、東芝をはじめとするエレベーターメーカー各社はビルの高層化についていくために、エレベーターがかつてない速度でかつてない高さまで人を運べるようにする新型モーターやハイテク気圧制御システムを使い、大きな技術的進化を遂げることを迫られた。

東芝の世界最速エレベーター、向う2年で三菱と日立が新記録更新へ

 この10年間、台湾の超高層オフィスビル「台北101」で使われている東芝のエレベーターが秒速16.8メートルのスピードで世界最速エレベーターのタイトルを保持してきた。

 だが、向う2年間で、この最速記録は2度破られることになる。日本の競合企業の三菱は、秒速18メートルで移動する中国の121階建ての「上海中心(タワー)」のエレベーターで2015年に東芝から栄冠を奪う構えだ。

 その1年後、日立は秒速20メートルで上昇する「広州周大福金融中心」のエレベーターで新記録を達成することを目指している。1階から95階まで43秒で移動する速さだ。

 日立によると、強力で薄型の磁石モーターのおかげでこうした高速を実現できるという。同社の超高速エレベーターには、乗客の耳の不快感を最小限に抑える、より高度な気圧調整装置も使われる。

 比較的規模の小さいサプライヤーも、エレベーターの高速化を可能にする上で重要な役割を担っている。英国のエンジニアリング企業のオレオは、高速エレベーター用の緩衝装置を設計した。緊急時に降下中のエレベーターを止めるためにエレベーターシャフトの底に設置されている極めて重要な装置だ。

炭素繊維ケーブルで昇降距離が2倍に

 オレオの新ラインアップは、広州で使われるような秒速20メートルのエレベーターを支えるものだ。オレオのエレベーター事業部門の責任者、ジェイミー・プラット氏は、新しいラインアップは開発に4年の歳月を要し、先月、安全性試験をパスしたと言う。

 エレベーターはスピードが速くなっているだけではない。距離も伸びている。フィンランドのエレベーターメーカー、コネは昨年、1本のエレベーターで可能な最長昇降距離を500メートルから1キロ超に倍増させる炭素繊維ケーブル「ウルトラロープ」を発売した。