(英エコノミスト誌 2014年11月1日号)

香港の抗議活動は台湾の中国不信を煽っている。

 中国の主権下での香港の自治を保証することになっている「一国二制度」の仕組みは、最初は台湾のために立案されたものだった。だが、台湾では同制度は魅力を持ったことがなく、中国が香港の民主派のデモ隊の要求をのむのを拒んだことは意外ではないと受け止められている。

 しかし、香港と中国の対立は、本土との統一について台湾を熱中させるのを難しくする。

中国の影響力を不安視する台湾の学生の「ひまわり運動」

 2008年に選出された台湾の馬英九総統は、台湾経済を中国経済と密接に結びつけた。中国側の期待は、これが政治的な統一への道を開くことだ。だが、馬氏でさえ、すさまじく民主的な台湾には、独自の主権に対する権利があると主張している。

 香港で生まれた同氏は、香港での民主化運動を支持した。10月10日の台湾の国慶節には、儀仗兵がライフル銃をくるくる回し、少女たちが蝶の真似をして踊る中で演説し、中国の指導部は香港を本土とは切り離された民主的な地域にし、中国が1980年代に経済特区を創設したときに資本主義の実験を行ったように、香港で政治改革の実験をすべきだと語った。

台湾で大規模デモ、対中貿易協定に反対 台湾警察、政府庁舎占拠のデモ隊を排除 対中協定めぐる対立激化

今年3月、中国とのサービス貿易協定に抗議するために台湾で行われた大規模デモの様子〔AFPBB News

 台湾の野党・民主進歩党も香港の抗議活動を支持した。同党は長らく、台湾が正式に中国からの独立を宣言することを望んでいた。

 最近では、自党が本土との関係をうまく管理できることを有権者に示すことに必死で、以前ほどは強硬ではない。だが、民進党の支持者は当然、香港の抗議者たちに同情する。

 台湾の学生は特に、中国がじわじわと台湾に入り込んでくることを心配している。学生は馬氏の商業的な合意に政治的な条件が伴うこと、そして最終的には台湾がただの新たな香港になることを恐れている。

 このため、学生たちは3月の「ひまわり」運動で、中国とのサービス貿易協定に抗議するために台湾立法院(国会)を占拠した。10月1日には、高校生を含むおよそ5000人の群衆がひまわりに代わって香港の抗議活動のシンボルである傘を手にし、台北での集会で振った。