クライマックスシリーズ、日本シリーズ、ワールドシリーズ、ドラフト会議。秋深まっても、プロ野球への興味は尽きないが、今年は、北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手1人に、随分といろいろなことを考えさせてもらったシーズンだった。

ベーブ・ルースを最後に大リーグにも例のない二桁勝利と二桁本塁打

1940年代を中心に活躍した野口二郎は、6シーズンも規定投球回数と打席数両方に到達した二刀流の名選手

 日本球界最速の時速162キロの速球を投げ、チームトップの11勝。打者としては、主にクリーンアップを任され10本塁打。弱冠20歳の二刀流が、登場のたび、さらなる可能性を感じさせてくれたからである。

 米国メジャーリーグでも、1918年のベーブ・ルース以後、二桁勝利と二桁本塁打を同年達成した例はないことを、メディアは大きく取り上げていたが、こうした二刀流自体は、プロ野球創生期には決して珍しいことではなかった。

 しかし、投手は先発、中継ぎ、抑えなどに役割分担、野手もスペシャリスト化が進むのが現代野球。凝り固まった「今の常識」に風穴をあけた功績は大きい。

 当初の本人の希望通り、米球界入りしていたら、などと考えることもしばしばだが、10月公開となった『ミリオンダラー・アーム』(2014)は、全く野球が未経験のインド人選手が米プロ球界入りする実話がベース。

 インドと言えば人口12億以上を擁す、どの業界にとっても重要な巨大市場であり、有能な人材の発掘場所だが、野球というスポーツ自体、ほとんど認知されていない。

 しかし、似て非なるボールゲーム、クリケットは盛んだからと、スポーツ・エージェント、J.B.バーンスタインは「ミリオンダラー・アーム・コンテスト」を企画した。

 そして、発掘された「原石」、リンク・シンとディネシュ・パテルが、投手として米プロ球界デビューを果たしたのである。ディネシュは既にインドに帰国、リンクは今シーズン肘の手術で欠場し、いまだマイナーリーガーだが、今でもやっぱり米国は人間の可能性を感じさせる地なのである。

 そんな米国では、学生時代、複数のスポーツを高レベルでこなす者は少なくない。プロになっても1つに絞らず、野球、アメフト、2つのプロスポーツでオールスター出場を果たしたボー・ジャクソンや、ワールドシリーズとスーパーボール両方に出たディオン・サンダースのような例もある。

 学生時代バスケットボールや陸上競技もやっていた「マルチアスリート」サンダースは、アメフトの優秀なディフェンシブバックに贈られる「ジム・ソープ賞」を大学時代受賞している。そのジム・ソープこそ、元祖マルチアスリートと言える伝説的存在。