(2014年10月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 インドネシアの指導者のジョコ・ウィドド氏は、よくバラク・オバマ米大統領と比べられる。オバマ氏と同様、ウィドド氏も無名の存在からスタートし、国の最高職位を手に入れた。

 オバマ氏と同じように、国政の経験がほとんどないが、変革を目指す計画を持ったアウトサイダーだ。またオバマ氏と同様、期待があまりにも高いため、ウィドド氏はほぼ間違いなく失望を招く運命にある。

貧しい家庭に生まれ、大統領にまで上り詰めた軌跡

インドネシア、ジョコ新大統領就任 スラム出身の改革派

インドネシアの首都ジャカルタで、大統領就任式を終えパレードするジョコ・ウィドド新大統領〔AFPBB News

 ウィドド氏が世界で4番目に人口が多いインドネシアの大統領に上り詰めるまでの経緯は、オバマ氏のそれと同じくらい目を引くものだ。

 「ジョコウィ」として広く知られる同氏は、本人がジャワ島中部の「川岸の貧しい家庭」と表現する家族の一員として人生を歩み始めた。

 父親の足跡をたどって家具事業に従事。その地位から、40代でジャワ島の中規模都市ソロの市長になり、政治的なキャリアを築き始めた。実際的で庶民的なウィドド氏のリーダーシップの下、ソロ市の運勢は上向き、同氏は全国的な関心を集めた。

 2012年には首都ジャカルタの州知事に就任。そこから大統領の座を狙うという攻勢は見込みが薄かったが、最終的に成功する。ウィドド氏は先週、正式に大統領に就任した。

 鳴り物入りで登板するウィドド氏がその期待に添えるかどうかは、アジアで最も重要な新興大国の1つであるインドネシアにとって極めて重要だ。同氏は、1998年に独裁者のスハルト元大統領が失脚して以来、民主的に選ばれた前任者から権力のカギを受け継ぐ、直接選挙で選ばれた初の大統領だ。

ウィドド大統領の働きが国の行方を大きく左右

 ウィドド氏がうまくやれば、インドネシアは安定した民主主義国の確立に向けて大きく前進することになる。世界最大のイスラム主流国で、人が住む島が1000近くも連なる列島に2億5000万人の人口が分散している国にとっては、決して小さくない偉業だ。

 一方、下手をすれば、インドネシアは昔の権威主義のやり方に逆戻りする恐れがある。あるいは、何百万人もの意欲的な若者にチャンスをもたらすことができなければ、高まる社会不安に苦しむことになる。インドネシアの成功は、2つの要因を克服することにかかっている。