(2014年10月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

英首相、EU残留を問う国民投票を約束 17年末までに

英国のデビッド・キャメロン首相は、EUからの請求書を突き付けられて激怒した〔AFPBB News

 英国のデビッド・キャメロン首相と欧州委員会の対決を、後者を引き立てるような形で説明する方法がある。

 欧州委は度を越すまでに合理的で、組織内の規則の論理を最後の最後まで守る。もしその論理が、英国が欧州連合(EU)予算に追加で21億ユーロ支払うことを意味するのであれば、良識のような些細なことが邪魔をすることを許さない。

 歴代の英国首相の中で最もイングランド人らしいキャメロン首相は、この大陸的なリテラリズム(直解主義)を軽蔑している。同氏は主流派ではない妥協の世界に住んでいる。この世界では、規則は操作することができ、分別のある人間の判断に委ねられる。

欧州委員会の合理性と加盟国の事情を斟酌してきた過去

 これらの対照的な思考習慣は異なる文化から生じるものだが、欧州委のやり方の方が28カ国から成る連合の秩序をうまく保てる。EUについて英国が気に入っている域内市場は、欧州委が規制の調和を図り、公正な手で各国の保護産業をこじ開けることに依存している。

 これが欧州委を引き立てる説明だが、実際には通用しない。実際には、EUの規則の執行は乱雑で公平性を欠く作業だ。

 法律の条文は常に政治と戦ってきた。大きな加盟国が騒ぎ立て、国内の圧倒的な世論や、格別に大きな戦略的利益について訴えれば、言い分を通すことができる。過去10年間に複数の加盟国によって安定・成長協定が無視されたのは、そういう経緯だった。また、これによって、なぜ域内市場がまだ不完全なのか説明がつく。

 先週、フランスのフランソワ・オランド大統領がキャメロン氏に「規則を守る」よう求めた時、同氏のチームは笑いすぎて死にかけた。何しろ彼らはこれまで、歴代のフランス政府がEUの規則に対して完全とは言えない忠誠を示すのを見てきた。

 今でさえ、欧州委はフランスとイタリアに対し、国家予算の制約の執行について妥協の余地があると内々に伝えている*1

 だから、ブリュッセルは純粋な論理の要塞ではない。欧州委は加盟国の政治的な現実を斟酌する。

*1=実際、欧州委員会は10月28日両国が提出した予算案をEUの予算規則に対する「重大な違反」がないとして、大幅な修正を求めることは見送った