(2014年10月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

途上国の貧困撲滅、国民皆保険が鍵 世銀総裁

世界銀行のジム・ヨン・キム総裁。ダートマス大学のタレントコンテストでラップと踊りを披露したこともある〔AFPBB News

 2012年7月にジム・ヨン・キム氏が世界銀行総裁に就任したとき、その職歴が精査された。多くの人は、感染症の専門家としての経験や能力が、橋やダムの建設に資金を拠出する伝統を持つ開発銀行のトップにふさわしいのかどうか疑問に思った。

 それ以来、ダートマス大学の前学長でラップ好きのキム氏が世銀で築いてきた実績は功罪相半ばし、批判派いわく記憶に残らないものだった。同氏は世銀で2030年までに極貧をなくすという立派な目標を定めたが、一方では職員の反発を招くことになった組織のリストラも推進した。

 しかし、キム氏は西アフリカとその他地域で進展するエボラ危機に、自身の総裁職を作り変える方法を見いだしている。

「火は火元で消さなければならない」、緊急対応に率先して資金拠出

 また、これは一部の人が不安を抱くような方向へ世銀を向かせる結果になるかもしれないが、エボラ危機は急速に、韓国で生まれアイオワ州で育った医学者のキム氏の世銀総裁としてのキャリアの重要な一里塚になりつつある。

 キム氏は、遅い国際対応をシステム内部から批判する急先鋒として浮上し、自身がかつてエイズプログラムを率いた世界保健機関(WHO)に活動を速めるよう促したことで賞賛された。

 キム氏は本紙(英フィナンシャル・タイムズ)とのインタビューで「我々はまだ後れをとっている。まだ信じがたいほど難しい感染症と戦っている」と述べた。

 先週、ニューヨーク州とニュージャージー州の州知事が西アフリカでのエボラとの戦いから帰国してくる医療従事者に強制隔離措置を講じる一方で、キム氏はより多くの医師、看護師に西アフリカへ向かうよう呼びかけていた。

 また、キム氏は、ギニアで従事中にウイルスに感染し、帰国後、症状が出ていない数日間に公共の場を動き回ったことが隔離対策を促し、ソーシャルメディア上で怒りの集中砲火を浴びたニューヨーク市の医師を「英雄」として称えた。