マット安川 ゲストに元空将・織田邦男さんを迎え、御嶽山噴火現場での自衛隊の活動実態をお聞きしました。また、「憲法9条のノーベル平和賞ノミネート」への疑問も提示いただきました。

御嶽山の救助・捜索活動の実態を国民はほとんど知らない

織田 邦男(おりた・くにお)氏
元・空将。1974年、防衛大学校卒業、航空自衛隊入隊、F4戦闘機パイロットなどを経て83年、米国の空軍大学へ留学。90年、第301飛行隊長、92年米スタンフォード大学客員研究員、99年第6航空団司令などを経て、2005年空将、2006年航空支援集団司令官(イラク派遣航空部指揮官)、2009年に航空自衛隊退職。(撮影:前田せいめい、以下同)

織田 今回の御嶽山噴火での救助・捜索活動について、自衛隊や警察、消防がどれだけ困難な活動をしたのか、意外と国民には知られていません。だからいわれなき批判が出てくるんだなと思いました。

 例えば、自衛隊はなぜもっと早く、山に取り残された人を助けないのかという声がありました。3000m級の山にヘリコプターを飛ばすことがいかに難しいか、墜落する可能性もあり、決死の活動なんです。しかも火山灰がある。ヘリコプターの捜索で一番つらかったのは高山病だったといいます。頭が割れるように痛くなる。

 また、低体温症もあります。火山灰が雨で濡れると、生コンのようになり、足を突っ込むと抜けなくなるらしいです。その中を一歩一歩力ずくで進む。靴が脱げても取れない。そうすると低体温症になってしまう。それで体調を崩して後送されたり、本当にたいへんなことをやっているんですが、そういうことはあまり知られていない。

 自衛隊だけではなく、警察も消防もみんな苦労してやっているということが国民のみなさんも分かれば、現場のやる気にもつながると思うんですが。

装甲車でも何でも使えるものを総動員するのは当然のこと

 ある有識者がラジオで、自衛隊は雨の日になったら活動できないのか、それは軍隊ではない、軍隊ではないから集団的自衛権なんてトンデモないというような発言をされていました。では、私は聞きたい。火山灰が積もっているところに雨が降って、どこの軍隊がやれますか、救助を続けられますかと。

 また、ある有名なコメンテーターは、なぜ自衛隊なんですかと言っていました。なぜ装甲車を出すんですかと。装甲車というのは、もし火砕流が起これば、その中に避難すれば、1時間はムリですが5分や10分は時間を稼ぐことはできる。火山石が飛んできて直撃を受けても助かるわけです。

 地雷探知機や、有毒ガスの監視装置なども同じです。火山ガスは毒ガスで極めて危ない状況で活動しているわけですから有効なんです。