石油消費国の組織である国際エネルギー機関(IEA)は、エネルギー消費に補助金を出すコストが全世界で年間5500億ドルだと推定している(ほとんどが発展途上国)。他の条件がすべて同じだとすると、原油価格の下落はその金額を約4000億ドルまで減らすはずだ。

 このことは、多くの国が選択を迫られることを意味する。この機会を捉えて補助金を廃止するか、それともコストが下がった甘い汁を配り続けるか、どちらかだ。どちらにしても、多くの国が恩恵を受ける。経済的な歪みに終止符を打つこと(ただし、消費者の反発を招くリスクがいくらかある)、あるいはしばらくの間財政コストを減らすことによる恩恵だ。

中東の石油輸入国の選択

 この選択は、中東の石油輸入国で特に際立つ(図参照)。

 2014年はエネルギー補助金のコストがエジプトでGDP比6.5%、ヨルダンで4.5%、モロッコとチュニジアで3~4%だった。原油価格が20%下落すれば、エジプトとヨルダンの財政収支はGDP比約1%改善するとIMFは言う。

 だが、効率改善だけでは、そうした国の政権、特に不安定な政権が、主に政治的影響力のある中間層に恩恵をもたらす補助金の削減に踏み切らないかもしれない、と世界銀行のジョン・バフェス氏は懸念する。

 他の多くの国も、エネルギー補助金と格闘している。インドネシアは、予算の約5分の1をエネルギー補助金に使っている。ペルシャ湾岸の石油輸出国はさらに浪費しており、バーレーンはGDPの12.5%、クウェートは9%をエネルギー補助金に費やしている。

 ブラジルは、超深海の海底油田(プレサル)への投資を呼び込むために原油高を望んでいる。

 だが、原油安はブラジルの農家にとっては朗報であり、また短期的には、国際価格で石油を輸入しながら、インフレを人為的に低く抑えるために政府が設定した上限価格で販売することを強いられている国営石油会社ペトロブラスにとっても朗報だ。ペトロブラスは何年かぶりに、輸入品の販売で損失を出さずに済んでいる。