(英エコノミスト誌 2014年10月18日号)

ミャンマーはタイのようになる前に、まずバングラデシュのようにならなければならない。

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経済開放に舵を切ったミャンマー〔AFPBB News

 ミャンマーのティラワ経済特別区(SEZ)の開発第1期には、400ヘクタール近い土地の整備と近くの港へ至る道路の建設が含まれていた。工業団地は来年半ばにオープンする予定で、入居を予定する企業22社の一部が今月末までに工場の建設に着手する。

 だが、真っ先に恩恵を受けるのはミャンマー経済ではない。ティラワ経済特区を開発しているミャンマーと日本の合弁会社の代表、梁井崇史氏は、団地に張り出す森の一角を占める修道院が多大な恩恵を受けると冗談を飛ばす。

 「この国では、修道院に手を出すことはできない」と梁井氏。企業が起工式を行うたびに、やがて壮大な黄金の仏塔を建てる資金になるかもしれない寄付金が修道院に入るのだ。

経済特区、ミャンマーの未来に対する賭け

 修道士がミャンマーの過去を象徴しているとすれば、準備が進むティラワとあと2つの経済特区の入居企業はミャンマーの未来に対する賭けだ。3つの特区の中で最も開発が進んでいるティラワは、全面開業した時には7万人の労働者を雇い、国内向けの食料品、消費財、建設資材のほか、靴、自動車部品、衣料品などの輸出志向の商品を生産する。

 テイン・セイン大統領は2011年に、ミャンマーを再び世界経済とつなげることを約束して政権の座を獲得した。以来、楽観的な向きはあらゆる通りにスーパーマーケットとファストフード店が並び、モバイル技術のおかげで同国が発展段階をいくつも「飛び越え」、タイ、あるいはシンガポールにさえ肩を並べることを夢見てきた。

 だが、ミャンマーの経済的な未来は、未熟練労働者が輸出向けの労働集約財を大量生産することにかかっている。タイの水準の産業開発を切望する前に、西側の隣国であるバングラデシュのように低コスト製造の拠点になることを目指すべきなのだ。

 ただし、投資家が夢を見るのは正しい。ミャンマーは中国とインドという巨大市場の間に位置しており、タイには西方の海への近道を提供できる。シンクタンクのマッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)によると、2025年までに、所得が1日当たり10ドル以上の世界の消費者の半分以上がミャンマーから飛行機で5時間以内の場所に住んでいることになる。

 ミャンマーは耕地、水、天然資源に富んでおり、石油、天然ガス、そしてヒスイ、ルビー、サファイアといった宝石に恵まれている。

 タイの労働力人口は高齢化し、縮小し、人件費が高くなっている。これに対してミャンマーの労働力人口は安くて若く、国外で働く300万~500万人のミャンマー国民の一部の帰国によって恩恵を受けている。