(2014年10月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ユーロ圏、ギリシャ国債50%棒引きで合意 包括案まとまる

このままの政策では、ユーロ圏経済の力強い回復は見込めない〔AFPBB News

 ユーロ圏の現在の政策が力強い景気回復をもたらす可能性は果たしてあるのだろうか? 筆者の答えは「ノー」だ。ユーロ圏は2013年に世界全体の国内総生産(GDP)の17%を生み出しているだけに(市場価格ベース)、この答えは世界全体にとって大きな意味を持つ。

 ユーロ圏の経済戦略を決めるのはドイツである。この戦略は(1)構造改革、(2)財政規律、(3)金融緩和の3要素から成っており、これまでのところ、適切な需要を創出できていない。2014年第2四半期のユーロ圏の実質需要は、2008年第1四半期のそれを5%下回っていた。

 フランスとイタリアはともに、自国とユーロ圏全体の経済成長に再び火をつける手段の1つとして「構造改革」を加速するよう促されている。ここでユーロ圏全体の成長がかかわってくるのは、この2国を合わせればユーロ圏全体のGDPの38%を生み出していることになり、ドイツ(同28%)を上回るからだ。

 この2国に奨励されている改革プログラムには、労働市場の自由化が盛り込まれている。つまり、ドイツで2003年から2005年にかけて導入され、今日の比較的良好な労働市場の原因になったと言われることの多い「ハルツ改革」を実行するよう促されているわけだ。

ダイナミックな需要を創出できなかったドイツの改革

 しかし、ドイツのこれらの改革が成し遂げなかったことの1つが、ダイナミックな総需要の創出だった。2004年第2四半期から2014年第2四半期にかけて、ドイツの内需は実質ベースで11.2%しか増えていない。年率に換算すれば1%の伸び率だ。もっとひどいことにならずに済んだ格好だが、「機関車」の役目を果たしてきたとはとても言えない。

 このことは、ドイツの部門別資金過不足(政府、民間、外国の3部門における収入と支出の差額)の推移を振り返るとさらにはっきりする。ドイツの民間部門は2000年代前半の改革に対し、資金余剰の幅を大きく拡大するという反応を示した。つまり、支出をぐんと減らして貯蓄を増やしたのだ。

 そしてこの時期には財政赤字も縮小されたため、外国に流出する資金の量が急増した。これは非常に際立った、かつ重要な現象である。端的に言えば、労働市場改革と緊縮財政に直面したドイツの民間部門はますます倹約に励むようになり、それによって大量の(そして質の悪いことが多い)外国資産を積み上げることになったのだ。

 民間の国内需要を増やすという観点から見るなら、改革はほとんど成果を上げなかった。それどころか、ドイツは外需に大きく依存するようになった。同様に、緊縮財政が民間の支出を一気に増加させることもなかった。

 ドイツと同じような労働市場改革をフランスやイタリアで実行すれば需要の拡大が促されるとの考え方は、恐らく楽観的すぎるだろう。