(2014年10月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

消費税8%、安倍首相が正式表明

アベノミクスの有効性に疑問が投げかけられている〔AFPBB News

 日本経済の再興を目指して安倍晋三首相が鳴り物入りで導入したプログラムは2年目に入っているものの、今後の見通しが怪しくなっている。

 「アベノミクス」と称されることの多い首相のプランは数々の困難に直面しており、日本が新たなスタートを切ったことで喚起された高揚感もすっかり薄れてしまっている。

 安倍氏の戦略は大規模な財政出動という景気刺激策で始まり、大規模な金融量的緩和がそれに続いた。これにより、日本はデフレの停滞から抜け出せるかと思われた。「第3の矢」は、まだ的に向かって飛んでいる最中だが、長期的な経済成長率の押し上げを狙ったさまざまな構造改革をもたらすと見られている。

アベノミクスに失速懸念、消費税再引き上げは?

 ここ数カ月は冴えない経済指標が続いており、アベノミクスに失速懸念が出ている。そのため、政府は来年に予定されている消費税率の引き上げをそのまま実行すべきなのかという疑問が呈されている。

 安倍氏は今年4月、政治のタブーを破って消費税率を5%から8%に引き上げた。2段階で10%に引き上げる計画の第1段階だ。前回の税率引き上げは1997年のことだったが、この時は立ち直りつつあった景気を後退させる一因になった。

 しかし、4月の消費税率引き上げは日本の政策を支配する人々から幅広い支持を得ていた。この国は財政を健全化する必要がある。デフレと政府の借り入れがもう何年も続いており、公的債務残高の対国内総生産(GDP)比は250%というとてつもない高水準に達しつつある。

 健全化に向けた第一歩が付加価値税で踏み出されるのは自然なことだ。日本の付加価値税の税率は、ほかの経済協力開発機構(OECD)加盟国に比べてはるかに低く、税収もそれに応じて少ない。

 また、消費税率の引き上げは多くの代替策より優れている。付加価値税の増税は、国産品と同様に輸入品にも影響を及ぼすし、所得税が増税されてもあまり影響を受けないがお金は貯めている年金生活者(日本にはそういう人が多い)に負担を迫ることにもなる。

 安倍氏の問題は、消費税率の再引き上げを決断するこの時期に、日本の景気が反転・悪化してしまっていることだ。2014年1~3月期のGDPは、消費税率引き上げ前の駆け込み需要のために力強い伸びを示した。ところが第2四半期(4~6月期)は前期比年率換算で7.1%のマイナス成長に陥った。2011年に東北地方を大地震と津波が襲ったとき以来の大きな落ち込み幅である。