(英エコノミスト誌 2014年10月18日号)

原油価格が大きく下落している。それは世界経済にとって良い知らせか悪い知らせか?

NY原油、一時50ドル超 減産見込みで

原油相場が下げ足を速めている〔AFPBB News

 石油価格は3カ月間かけて徐々に下落した後、10月14日だけでいきなり4ドル近く急落した。

 1日の下げ幅としては1年以上なかった大幅な下げとなり、国際的な指標であるブレント原油の価格は1バレル85ドルとなった。6月のピーク時には、1バレル115ドルをつけていた。

 通常、石油価格の下落は世界の成長を押し上げる。石油価格が1バレル10ドル下落すると、世界の国内総生産(GDP)の約0.5%が石油輸出国から石油輸入国に移転する。輸入国の消費者の方が、豊富な資金を持つ石油輸出国よりすぐにお金を使う可能性が高い。そのため、安い石油は支出を押し上げることによって世界のGDPを増やす傾向があるわけだ。

原油安の原因は、需要の低迷か供給の増加か?

 しかし、今回は状況がそれほど明確ではない。大きな経済問題は、価格の下落が需要の低迷を反映しているのか、それとも原油供給量の急増によって起きているのか、という疑問だ。需要の低迷が原因であれば、気掛かりな事態だ。それは石油価格が成長鈍化の症状であることを示唆しているからだ。

 市況の軟化の原因が金融的なもの(過剰債務などの問題)であれば、安い石油はそれほど成長を押し上げないかもしれない。消費者が原油安によって得した分を債務の返済に回すだけかもしれないからだ。実際、国によっては、安い石油がデフレのリスクを高めることで状況を悪化させる恐れさえある。

 一方で、豊富な供給が価格を押し下げているのであれば、それは潜在的に良い知らせだ。安い石油が最終的には世界最大級の経済大国で支出を増やすはずだからだ。

 世界経済は確かに弱い。日本のGDPは第2四半期に減少した。ドイツのGDPも減少し、同国は景気後退に向かっている可能性がある(工業生産と輸出に関する最近の統計は惨憺たるものだ)。米国の成長は最近加速しているが、景気回復は歴史的な基準からすると弱い。

 10月半ばに石油価格が急落する直前、国際通貨基金(IMF)は2014年の世界成長見通しを今年3度目となる下方修正で3.3%まで引き下げた。IMFはまだ2015年に成長が上向くと見ているが、それもごくわずかだ。

 成長の鈍化はエネルギー需要の低下につながる。石油輸入国の組織である国際エネルギー機関(IEA)は先日、今年は世界の需要が日量70万バレルしか増加しないと予想していると述べた。これは、先月発表したばかりのIEAの予想を日量20万バレル下回っている。

 需要はしばらく低調に推移してきたが、最近の鈍化――特にドイツでの鈍化――は市場を驚かせた。価格が急落したのは、このためだ。