先週の米国株式市場
―世界経済の減速懸念から大幅下落―


<先週の概況>

先週の米国株式市場はIMFが発表した世界経済の成長率予測で、日欧が下方修正されたことなどを受け、世界経済の成長鈍化懸念が強まったことで大きく下落しました。週の半ばにはFOMC議事要旨が発表され、市場の想定よりもハト派色が強かったことから切り返す場面も見られたものの、翌日以降再び下落し、結局ダウ平均は当面の下値支持線と考えられていた200日移動平均線を割り込む格好となりました。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄中上昇は3銘柄にとどまり、27銘柄は下落しました。コカ・コーラ(KO)は週間で3%超の値上がりと、マーケット全体が下落している中で強い値動きとなりました。世界経済の景気不安でマーケット全体が売られている中、ウォルマート(WMT)やプロクター・アンド・ギャンブル(PG)などとともに生活必需品関連株に資金が集まった格好となりました。

<下落>

多くの銘柄が売り込まれ、シスコシステムズ(CSCO)は週間で8%近い大幅下落となりました。

先週発表された主な経済指標

9月開催FOMC議事要旨

8日に発表された9月分のFOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨では、一部の参加者が、「足元で進行するドル高やユーロ圏や日中などの経済成長が減速するリスクが米国経済に悪影響を及ぼしかねない」との懸念を示していたことが明らかとなりました。

マーケットでは利上げが後ズレするとの思惑が浮上したことから発表を受けて株価は上昇しました。また、今回はそのまま記載されたゼロ金利政策を維持する「相当な期間」という文言について、踏み込んだ議論が行われていたことが明らかとなりました。

今後発表される主な経済指標

10月15日 9月小売売上高(前月比) 市場予想 -0.1% 前月 +0.6%
       9月小売売上高(除く自動車・ガソリン) 市場予想 +0.4% 前月 +0.5%

15日に9月分の小売売上高が発表されます。先に発表された新車販売台数が前月に比べて落ち込んでいることから、自動車関連を含めた小売売上高のヘッドラインは前月比減少が予想されています。

ただ、自動車・ガソリンを除いたコア指数は前月比+0.4%と堅調な伸びが期待されており、個人消費は依然好調に推移していると考えられています。


マーケットビュー

ダウ平均やS&P500は目先の下値支持線と見られていた200日移動平均線を割り込みました。どこが底値となるかは誰にもわかりませんが、筆者は長期的に見ると買い下がって良い局面だと考えています。

S&P500が200日移動平均線を割り込んだ直近2回の局面はすぐに株価が回復しており、200日移動平均線を割り込んで株価の調整が長期化したのは2011年8月まで遡ります。当時は量的金融緩和第2弾(QE2)が終了した時期で、失業率が9%程度で高止まりし、非農業部門雇用者数の伸びは10万人前後と雇用に力強さはなく、ISM製造業景況感指数は急速に悪化をたどるなど、米国経済の先行きに対し不安が残っていました。

米国経済を当時と比べると、明らかに強い状況です。労働市場は力強い回復を見せ、個人消費は堅調でISM景況指数も高水準にあります。本格化しつつある7―9月期の企業決算では堅調な内容が発表されると見込まれますし、長期的に見た米国経済の強さ、そして米国企業の稼ぐ力は揺らいでいないと考えられることが、長期的に見ると買い下がって良いと筆者が考える理由です。

ただ、足元でISM景況指数は2ポイント超の低下を示しており、日欧中のそれぞれで経済成長の鈍化懸念が出ている以上、来月以降さらに悪化する可能性もあります。また、世界中に広がりつつあるエボラ出血熱の先行きが見通せないというテールリスクもあり、短期的には一段安となる可能性も考えられます。

一度に資金を全額投入せず、下がった際に少しずつ買い下がっていくというのが長期的に見て望ましいと考えています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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