(2014年10月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 英国ほどの学術的な力を持つ国はほとんどない。英国以上に大きな優位性を持つ国は、5倍の人口を擁する米国だけだ。英国は世界の大学上位200校のランキングで29校を占めており、世界で最も引用されている論文の6本に1本が英国の論文だ。

 今週はユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのジョン・オキーフ教授が神経科学の研究でノーベル賞を受賞し、英国は科学の分野でノーベル賞を100個以上獲得する、世界で2番目の国に近づいた。

学術的なリードを保つためには国際的な人材が必要

 英国の学術的な功績は国家的なプライドを呼び覚ますが、もっとよく見ると、そうした功績がどれほど国際的な人材に依存しているかが分かる。英国のノーベル賞受賞者のかなりの割合が外国生まれで、1960年代後半に米国から渡ってきたオキーフ教授もその1人だ。

 そのオキーフ教授がいま、英国のビザ制度が、英国が外国から最も優れた科学者を採用するうえで大きな障害になっていると評した。教授以外にも、学界から政府の移民政策を批判する声が高まっている。オックスフォード大学の学長は7日、海外で外国人の学生に敵対的だと見られている制度に当惑していると認めた。

 学術研究はオープンな意見交換に依存しており、国境によって制限されたら大きく損なわれる。科学的な研究は特に世界的な努力だ。一部の有力研究機関は世界90カ国以上から科学者を採用している。最も優れた研究者は、自分たちの到来を機会ではなく脅威として扱うように見える規則に簡単に嫌気が差す。

 その一部は恐らく手前勝手な議論であり、現実と同じくらい認識を反映している。政府は海外から来る学生の数に明確な制限を設けていない。国境の職員が投げかけてくる官僚主義的な障害を乗り越える意思がある人は、大抵は入国できる。だが、自由に動ける人材を巡る世界的な競争が激化する中で、そうした認識はやはり重要だ。

 不必要なまでに不器用な移民政策は、そうでなければこの政府にとっていい話を覆い隠している。

 最悪の緊縮を回避した英国の大学は、概して健全な状態にある。講義の費用負担を個々の学生に移したことで大学は記録的な数の学生を募集できるようになった。来年からは、資格を満たす候補者を無制限に受け入れられるようになる。こうした改革のおかげで適度な競争が初めて花開く。