(英エコノミスト誌 2014年10月4日号)

中央銀行総裁の辞任で暗影が深まっている。

輸送車から大金ポロリ!群がる人々「ピラニアのよう」

ベンジャミン・フランクリンの肖像が描かれた100ドル札〔AFPBB News

 アルゼンチン経済に困惑している人たちは、ラッパーのパフ・ダディを聴くのも悪くないだろう。

 何がアルゼンチンを苦しめているのかと問えば、その答えは、パフ・ダディが米国の100ドル札について歌った「It’s all about the Benjamins(すべてはベンジャミンだ、世の中はカネだの意)」という言葉になる。

 アルゼンチン政府が7月にデフォルト(債務不履行)せず、代わりに債務再編に応じなかった「ホールドアウト」債権者との論争を解決していたなら、同国は今ごろ、国際市場でハードカレンシーを調達できていたかもしれない。

経済の停滞、ペソの下落、インフレ高進・・・

 しかし今、アルゼンチンは280億ドル前後で推移している外貨準備を管理するのに四苦八苦している。経済は停滞し、通貨ペソは非公式市場で下落し、インフレが高進している。

 10月1日に中央銀行総裁のファン・カルロス・ファブレガ氏が就任後1年足らずで辞任したことで、こうした状況が幸せな結末を迎える可能性が低くなった。

 ファブレガ氏は長い間、アクセル・キシロフ経済相と角を突き合わせてきた。今年40%に達すると見られるインフレ率と闘い、国の外貨準備を保全しようとするファブレガ氏は、今年初めに金利を引き上げ、ペソを切り下げる対策を支持した。キシロフ氏は、そうした決断が経済活動を凍結させたと不満を述べていた。

 9月30日、クリスティナ・フェルナンデス大統領はこの事態に決然と介入し、事実上、アルゼンチンの銀行がペソ安を促せるようファブレガ氏が銀行各行に内部情報を漏らしたと批判した。ファブレガ氏はその直後に辞任した。

 後任は、フェルナンデス大統領に忠実で、これまで証券委員会の委員長を務めていたアレハンドロ・バノリ氏だ。同氏はファブリガ氏に比べれば、行政機関と良好な関係を享受できるだろうが、その任務は楽にはならない。