集団的自衛権行使によりISIS(イスラム国)爆撃に参加するオーストラリア軍戦闘機(写真:オーストラリア国防省)

 「これまでも何度も繰り返して述べてきているように、アメリカは東シナ海の島嶼や尖閣諸島の領有権を誰が保持しているのかに関しては、(第三国間同士の領域紛争には介入しないアメリカ外交の原則を踏まえて)明確な立場は示さない。しかしながら、尖閣諸島が日本の施政権下にある限りは日米安保条約第5条が適用されるため、中国が尖閣諸島を奪取しようとしたならば、アメリカは同盟国日本を支援するであろう」

 9月30日、アメリカの超党派団体「外交問題評議会」が主催した公開対談の中で、ワーク国防副長官は上記のように尖閣問題に関する質問に答えた。

 アメリカ国防総省や国務省の高官たちによる“毎回お馴染みのコメント”であるが、日本のメディア(保守系からリベラルまで)は相変わらず「米高官、中国が尖閣奪取を企てれば日本を支援と表明」といった報道を繰り返している。

実際には起こらない中国の尖閣奪取

 アメリカは軍事力を投入して日本の尖閣諸島に対する施政権を中国から守るのか? ワーク副長官はそのことに関する明言は避けた。だが、中国が尖閣諸島を奪取しようとする態様に応じて日本を支援し施政権を維持させる、と遠回しに答えて、軍事力の投入を否定しなかった。