(2014年10月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

米最富裕層1%の所得、30年で3.75倍に 格差拡大

米国の所得格差はまだ拡大し続けている(写真は2011年に起きた「ウォール街を占拠せよ」運動の一幕)〔AFPBB News

 格差というものは、どこまで拡大したら懸念すべきなのだろうか。これは道徳や政治の問題だが、経済の問題でもある。今日では、格差はある点を超えると重大な経済問題をもたらすとの認識が広まっている。

 世界で最も重要な高所得国であり、国内の格差が図抜けて著しい国でもある米国は、格差が経済にどんな悪影響を及ぼすかを教えてくれる試験台になっている。その結果は憂慮すべきものだ。

 この認識は今や、普段なら社会主義だと指弾されることのない金融機関などにまで広がっている。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の米国チーフエコノミストの手によるリポートと、大手金融機関モルガン・スタンレーのリポートは、格差は拡大しているだけでなく米国経済に打撃を与えているとの見方に同意している。

米国に見る所得格差の拡大

 米連邦準備理事会(FRB)によれば、2013年の米国では、所得階層の最上位3%の世帯が全世帯の所得合計の30.5%を受け取っており、それに次いで豊かな7%の世帯が16.8%を受け取っている。つまり、残り90%の人々の取り分は半分をわずかに上回る程度だった。

 また、1990年代前半以降にこの所得の取り分が拡大したのは、最上位の3%だけだった。さらに、2010年以降は世帯所得のメジアン(中央値)が低下する一方で平均値は上昇している。つまり、所得格差は拡大を続けているということだ。

 モルガン・スタンレーのリポートは格差拡大の要因として、低いスキルしか求められない低賃金で不安定な職の割合が高まっていること、高学歴の賃金プレミアムが拡大していること、税や歳出の政策による所得再分配の規模が20~30年前よりも小さくなったことなどを挙げている。

 その結果、経済協力開発機構(OECD)によれば、米国は2012年に、比較的賃金の低い職の割合が高所得国の中で最も高い国になった。また米連邦政府の移転支出のうち、所得階層で最下位20%の人々の手に渡る割合は、1979年には54%だったものの、2010年にはわずか36%にとどまっていた。

 逆進性――それぞれの負担能力と比較した時に、貧しい人の負担が豊かな人のそれよりも重くなること――のある給与税が2015年度の連邦政府の歳入に占める割合は、32%に達すると予想されている。これに対し、高所得者の負担が相対的に重い連邦所得税の割合は46%になると見込まれている。