(2014年9月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

オバマ米大統領、イスラム国打倒に向け国際的連携を呼びかけ

中東の同盟国などと組み、ISIS掃討作戦に乗り出したバラク・オバマ米大統領〔AFPBB News

 自分が望む同盟国ではなく、現に持っている同盟国とともに戦争を始めるものだ――。ドナルド・ラムズフェルド氏の言葉を言い換えるなら、そういうことになるだろう*1

 「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」を相手取ったバラク・オバマ米大統領の戦争は、その好例だ。オバマ氏の中東同盟には5つの専制国家が含まれ、そのうち4カ国が君主国だ。

 程度の差こそあれ、どの国も反体制派を抑圧している。すべての国が間接的あるいは意図せずして、ISISやホラサン、ジャブハット・アルヌスラ戦線、そして言うまでもなくアルカイダといった組織の誕生に一役買った。

 どの国も非常時に米国を支援することから長期的な利益を得る。中東では数十年間にわたり、このように物事が運んできた。今のような局面でオバマ氏がそれを変えることを期待するのは、考えが甘いというものだろう。

米国にとって最大の脅威はスンニ派イスラムテロなのに・・・

 このファウスト的な取引の中心に位置するのがサウジアラビアだ。米国人は、2001年9月11日の同時多発テロのハイジャック犯20人のうち、19人がサウジアラビア市民だったことを忘れてはいない。また、2003年にイラクに戻った米国の過ちも忘れていない。

 現在、ツインタワーが倒壊した日とほとんど同じように、米国に対する最も直接的な世界的脅威は、イスラム主義のテロ、正確に言えばスンニ派のイスラムテロから来ている。9.11以降、欧米で画策されたテロ計画のうち、シーア派によって考案されたものは1つもない。

 だが、オバマ氏に許されない同盟相手の1つは、中東の大国としてはスンニ派のサウジアラビアと肩を並べるシーア派の大国で、サウジの最大の敵であるイランなのだ。

 さまざまな制約を考えると、オバマ氏は急場しのぎで探し得る最善の同盟を築き上げた。しかし、オバマ氏の任務は、サラフィー派過激主義の原因ではなくその症状を標的としている。

 このトレードオフには多くの先例がある。米国は1980年代にパキスタン、サウジアラビア、他のペルシャ湾岸諸国とともに、アフガニスタンでソ連と戦うムジャヒディンを支援した。あの戦争は、今復活を遂げているタリバンとアルカイダに、交流し発展する場を提供することになった。

*1=ラムズフェルド国防長官(当時)は2004年にイラクへ向かう米軍部隊を訪問した際、装甲車の追加投入を求めた米兵に対し、「自分が望む軍やいずれ欲しいと願う軍ではなく、今持っている軍で戦争を行うものだ」と語った