(英エコノミスト誌 2014年9月27日号)

厄介なことに排外的な辛辣な発言が増えている。

 韓国色の強い大阪・鶴橋地区では昨年、14歳の日本人の少女が街頭に立ち、拡声器を通して韓国人・朝鮮人の大虐殺を呼び掛けた。

 在日コリアンが最も集中している地域の1つである東京の新大久保界隈では、多くの人が、街頭やインターネットで外国人排斥を訴える発言が近代では例のない域に達していると話している。人種差別主義者は「日本から出て行け」や「韓国人を殺せ、殺せ、殺せ」といったスローガンを繰り返している。

高まる排外感情、東京オリンピック控え対応が急務に

 これは日本の政治家やスピンドクターにとって恐らく初めて問題となりつつある(哀れな韓国・朝鮮人については言うまでもない)。2020年の東京オリンピック開催に向けてカウントダウンが始まっており、国会議員は外国人――特に韓国・朝鮮人――に対する暴言やあからさまなヘイトスピーチを封じ込める必要に迫られている。

 日本には、帰化していない在日コリアンがおよそ50万人いる。一部には過去20~30年の間に日本に渡った人もいるが、その多くは20世紀前半の日本の帝国時代に家族が移住してきた人たちだ。彼らは長い間、敵意の標的となってきた。1923年の関東大震災の後には、東京の住民たちが、水道に毒を混入させたとして朝鮮民族を虐殺した。

 いまのところ、暴言は暴力沙汰にまでは至っていない。攻撃を受けた人たちを擁護する日本人による対抗デモも起きている。だが、警察はこうした言葉の攻撃を前にして、受け身の姿勢を続けている。そして明らかに、こうした攻撃がいつか暴力に発展する恐れがある。

 そのため、政府は対応を講じる必要に迫られている。国連人権委員会は7月、人種差別を禁止する法律にヘイトスピーチを加えるよう日本に求めた。東京都の舛添要一知事は、オリンピック開催に先立って法律を成立させるよう安倍晋三首相に要請した。

 裁判所も動き始めた。7月に大阪の高等裁判所は人種差別を巡る裁判で、日本全国でヘイトスピーチの集会を先導している極右のグル―プ「在日特権を許さない市民の会(在特会)」に京都の朝鮮人学校に対する街宣活動について賠償金1200万円を支払うよう命じた一審判決を支持した。

 少なくとも、反米主義で日本の帝国主義の過去を郷愁する「一水会」という1つの右翼団体は、韓国・朝鮮人への人種差別を拒絶している。一水会の創設者である鈴木邦男氏は、これほど大きな排外感情は見たことがないと述べている。