経営のためのIT活用実学

東京オリンピックに向けてICTは何ができるのかハコモノ五輪で終わらせてはいけない

2014.10.02(木)  桑津 浩太郎

 では、2020年に日本はどのような最新技術をアピールすべきか?

 よく言われるのはウエアラブル端末、自動車の自動運転などである。いずれも「絵」になりやすく、実現すれば相当力強いアピールが期待できる。とはいえ、これらはまだ萌芽期もしくは模索期の段階である。計画策定をギリギリまで粘って2018年としても、有望な技術の選定はなかなか難しいと言わざるを得ない。今の段階で柱として打ち出すのはリスクが大きいと言える。

 ここでは、日本は何をアピールすべきかに関して、「携帯電話派」と「無線LAN派」の主張を見てみよう。大まかな主張の違いは、「新技術を大胆に打ち出すべき」か「既存技術の延長線上の取り組みを目指すべき」か、である。

 携帯電話派の主張は、2020年が、いわゆる「第5世代」携帯電話の商用化時期であることに着目して、下り1Gbps級サービスを東京で先行しようと唱える(現在は「第4世代」とされる)。

 しかし、PDCと呼ばれる「第2世代」、WCDMAと呼ばれる「第3世代」ともに、携帯電話インフラにおけるインフラ構築は世界市場に先行したものの、市場の主導権を握るには至らなかった。また、海外からの訪日旅行客が東京に到着したときに5世代端末を持っていなければ実際に体験できない。最新サービスは見せるだけに終わり、インパクトは薄い。

 一方で、「WiFi派」は、無線LAN、WiFi基地局を大量に設置すべきだと主張する。

 つまり、海外を訪れる日本人の多くや、海外からの訪日旅行客のいずれも、日本市場では携帯電話のインフラ整備が進んでいたためWiFi基地局を整備する必要性が低くなっていたこと、日本と海外市場との間に齟齬(そご)があることに気づいている。東京オリンピックでは、訪日旅行客にWiFiサービスを潤沢に提供することこそ意味があるという主張である。

 ただし、携帯電話派からすると、「WiFi基地局を大量に設置しても、香港やシンガポールと同じであり、日本ならではの驚きや感動は与えられない。そもそも、WiFiが2020年まで現在の勢いを保てるのか?」という反論が出ることになる。

WiFiサービスの提供、拡充は最低限必要

 「先進技術か、既存技術の延長か」「日本の独自性の追求か、海外市場への適応か」という選択肢は、どちらも完全に無視していいものではない。どちらをより重視するか、を検討することになる。

 まず、第5世代携帯電話もWiFiも、都市の人口集中…

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