企業でIT活用が進むと、業務が効率化されたり、今まで見えなかったものが見えるようになるなど、様々な効果が期待できる。ただ一方で、システムの中に膨大なデータが蓄積されていくことによって別の問題が生じることもある。

 先日、立て続けに数件、似たような相談を受けた。そのうちの1件はこんな内容だった。

 2000年初めに大胆な営業改革とともに営業支援システム(SFA)を導入した会社の話である。気がつけば、そのシステムの中に5万件の顧客情報がたまっていたという。しかし、現在、その中で使われているのはほんの1割程度だそうだ。

 その会社は、昨今の経営環境の変化を受けて、営業拠点の統廃合を行う予定だ。拠点数を半数にし、営業員は3割削減するという。

 それでも売り上げは維持しなくてはならないのが企業というものだ。しかしご存じの通り、いわゆる「営業マネジメント」だけを一生懸命行っても効果は限定的である。受注率が多少上がったところで、人員減分をカバーするのは困難だ。

 そうなると、活動量あたりの受注数を増やすしかない。つまり、できるだけ可能性のある顧客のところに行き、営業活動の空振りをなくすか、という話になる。そこで、「今までは見向きもされなかった5万件のデータから、いかにして可能性のある顧客を見つけ出すか」というチャレンジが必要になったというのだ。

 ほかの数件の相談も本質的には似たような課題である。今や従来型の受注率や目標達成率を上げようという営業強化では頭打ちであり、いよいよ次のステージに進まざるを得なくなってきているというわけだ。

「有望な顧客」を見つけ出すMAツール

 いわゆる「鼻が利く」「金脈を探り当てる」という、“持っている”タイプの営業担当者はどの会社にも必ずいるものだ。しかし残念ながら、そういう類まれなセンスを持った人たちはごく一部であり、そのノウハウは横展開ができない。