(英エコノミスト誌 2014年9月20日号)

恐らくは世界で最も運営のひどい経済国――。

 原油価格の高騰が長引いている時期に請求書の支払いができない世界有数の産油国は、稀に見るひどい国だ。並外れた経済政策の失敗のおかげで、まさしくそれが世界第10位の石油輸出国ベネズエラの今の姿だ。

 第2四半期末時点で、ベネズエラの貿易関連の請求書は現在の外貨準備高である210億ドルを超えた(図参照)。同国の外貨準備の大半は、金で保有されているか、現金に変えるのが難しい資産だ。

 金融債務のうち70億ドル余りが10月に返済期限を迎える。

 政府は、外国の債券保有者に支払う手段と意志はあると主張している。政府が期限を守らないと見る観測筋はほとんどいない。それでも、「デフォルト(債務不履行)」という恐ろしい言葉が無造作に口にされている。

 格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は9月16日、ベネズエラを「脆弱な状態で、支払い義務を果たすために有利な事業、金融、経済環境に依存している」と評価し、同国の債券を格下げした。政府がベネズエラ国営石油公社(PDVSA)の米国精製子会社シットゴーを売却しようとしているとの報道は、同国が資金難に陥っているとの憶測を呼んでいる。

「デフォルト」を叫び始めたエコノミストたち

 金融債務の返済を期日通り行ったとしても、ベネズエラはそれ以外の請求書の支払いを滞納している。

 ハーバード大学のベネズエラ人経済学者、リカルド・ハウスマン氏とミゲル・アンヘル・サントス氏は今月、債券保有者にきちんと支払い続ける一方で、食品、医薬品その他の必需品に対する未払金を数十億ドルもため込むという政府の決断を批判して物議を醸した。

 「ウォール街ではなく3000万人のベネズエラ国民に対する義務の履行を怠ることは、(政府の)モラル破綻の兆候だ」。両氏はインターネットサイト「プロジェクト・シンジケート」への寄稿にこう書いた。ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、ハウスマン氏に「金融の殺し屋」の汚名を着せ、訴追すると脅している。

 やはりベネズエラ人のエコノミストで、バンクオブアメリカ・メリルリンチに勤めるフランシスコ・ロドリゲス氏は、生活必需品の不足は、政府が分別ある為替政策の採用を拒んでいることが原因だと考えている。