(2014年9月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 今から3年前、米国が最高級の信用格付けであるトリプルA格付けを失い、市場は混乱に陥った。2014年には、大半の米国企業が信用格付けを落としているが、投資家は顔色一つ変えていない。

 米国企業の社債発行は次第に、低くなった信用格付けを反映するようになっている。企業が歴史的な低金利と利回りに飢えた債券投資家をうまく利用し、大きく開けた債券市場で記録的な額の資金を借りているからだ。

 多くの借り入れは、株主に現金を還元したり買収の原資にしたりするために行われたもので、その結果、多くの企業でレバレッジの水準が高まっている。一方で、債券投資家はより高い利回りを求め、一見して弱い企業のバランスシートを無視しているようだ。

金利が上昇し、デフォルトを引き起こしたら・・・

 今後、金利が上昇し、デフォルト(債務不履行)を引き起こしたら、これがあだとなって返ってくるかもしれない。その時には、投資家は企業の信用を区別しなかったことを後悔することになるだろう。

 「もしすべてが1つか、2つくらいの格付けにまとまっているのであれば、それは企業に内在するリスクが同じだということを示唆している。だが、我々が知っているように、もし企業が異なるビジネスモデルや異なるレバレッジを持つのだとすれば、リスクは同じではない」。UBSのロブ・スモーリー氏はこう言う。「潮目がひとたび変われば、もっと差別化が見られるようになるだろう」

 調査会社ディールロジックによると、2008年には、信用度の高いトリプルA格付け、ダブルA格付けの企業が発行した社債が社債発行全体の47%を占めた。今年は現時点までで、その数字がわずか12%にとどまっている。

 対照的に、より信用リスクが高いトリプルB、ダブルB、シングルB格付けの企業が発行した社債は、2008年には発行額全体の21%だったのに対し、2014年には42%に上っている。

 ハルヤード・アセット・マネジメントのマイケル・カスナー氏は「近年、債券に対する需要があまりに大きかったため、投資家は、どんな類でもいいから、とにかく利回りを求めて、信用格付けを見過ごすようになった」と言う。

 シティグループの分析によると、典型的なシングルA格付けの発行体の1年間のインプライド・デフォルト率は、現在の債券価格に基づくと12ベーシスポイント(bp、1 bp=0.01%)で、トリプルB格付けは16bpだ。シティグループの米国信用ストラテジーの責任者、スティーブン・アントチャク氏は、これは「レバレッジが拡大している時期においては大した差ではない」と言う。