(2014年9月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

スコットランド独立投票、焦点は経済問題

英スコットランド・アバディーンの街頭で、英国からの独立を問う住民投票で賛成票を投じるよう呼び掛ける旗を振る女の子〔AFPBB News

 筆者は最近まで、スコットランドが独立に賛成票を投じても、あまり気にしないと思っていた。ところが今、独立の可能性が現実味を帯びるに従い、自分がひどく動揺していることに驚かされている。

 今では、世論調査を執拗に注視している。独立に反対する「ノー」陣営の無能さと、「イエス」陣営の視野の狭さに憤りを覚えている。そして、投票日が近づくにつれて、嫌な予感が強くなっていく。

 なぜそんな気分になるのか? その答えは、独立の是非を問うスコットランドの住民投票によって、自分の抱くアイデンティティーと個人的な安心感が英国人としての国籍といかに強く結びついているか気づかされたからだ。

 一方、国際情勢をカバーする筆者の仕事は、世界が過去数十年間なかったほど危険な状態にあることを教えてくれている。つまり、今は英国を分割するにはひどいタイミングだということだ。

移民の子供としての個人的経験から言えること

 筆者は移民の子供として、関税申告書に「生まれ:ロンドン、国籍:英国」と書く時に常に感謝の気持ちと喜びを感じる。

 先祖はそんなに幸運ではなかった。祖父母は東欧の異なる地域出身のユダヤ人で、ホロコーストの何年か前に南アフリカに移住した。両親は、アパルトヘイトが敷かれていた南アに住んだり、そこで子供を育てたりすることを嫌い、再び移住した。筆者は自分の子供が自分と同じ国で生まれたことを個人的な勝利のように感じている。

 英国が安定性を象徴しているという根深い意識は、多くの場合、世界各地の問題を抱えた国・地域へ赴く出張によっていっそう強くなる。先週はウクライナを訪れ、自分が暮らす安全な場所へ戻れることを、かつてないほど幸運に思った。

 英国の政治的な安定は、20世紀に他の欧州諸国とこの国を区別した大きな要素だった。欧州の他の大国は皆、独裁や敗戦、内戦、暴政を経験した。英国はその間、自由で、安定し、民主的で、一見して狂信に影響されなかった。

 もし英国が分裂したら、この強い安定性が揺さぶられることになる。と言っても、筆者が内戦の勃発を予想しているということではない。だが、スコットランドとイングランドの別離は、楽なものにも友好的なものにもならないと考えている。

 通貨や債務、石油について議論があるだろう。何にも増して、双方に傷ついた感情と苦い思いが残る。