(2014年9月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ユーロ圏、ギリシャ国債50%棒引きで合意 包括案まとまる

ユーロ圏経済の現状は、悲しいだけでなく危険〔AFPBB News

 ユーロ圏の2014年第2四半期の実質域内需要は、2008年第1四半期のそれを5%下回った。ユーロ圏の失業率は2008年以降、5%近い上昇を見せている。そしてユーロ圏の2014年7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比で0.4%にとどまった。

 これらの事実から言えることは、シンプルながら3つある。まず、ユーロ圏は不況に陥っている。次に、そこでは需要不足が大きな役割を果たしている。そして、欧州中央銀行(ECB)は物価の安定という目標を達成できていない、という3点だ。

 これは単に悲しいだけでなく、危険なことである。経済状況が改善していないのであれば、安定状態が続くなどと想定するのはばかげている。

マリオ・ドラギECB総裁の重要な貢献

 これらの困難に対処するための必要条件(ただし十分条件ではない)は、まず困難そのものを理解することである。ユーロ圏の上級政策立案者であるマリオ・ドラギECB総裁はこれらの問題をしっかり把握しており、米ワイオミング州ジャクソンホールで先月開催された中央銀行当局者のシンポジウムでは、非常に重要な貢献をしてみせた。

 これについては、強調しなければならない点が2つある。

 1つは、ドラギ総裁が「経済の両側で行動を起こさねばならない。すなわち、総需要政策は各国の構造改革を伴ったものでなければならない」と明言したこと。もう1つは、総裁が新しい約束をしたことだ。総裁は「(ECBは)中期的な物価の安定を確保するのに必要な、かつ利用可能な手段を総動員する」という、原稿にはなかった発言をしたのだ。

 ユーロ圏は需要の側で問題を抱えているという発言には、天使たちが集まってきてこれを称える歌を歌ったに違いない。ユーロ圏当局の正統派はこれまでずっと、この事実を口にすべきでないことと見なしてきたからだ。

 また、行動すると約束したこともこれに劣らず重要かもしれない。ここで思い出されるのは、ドラギ総裁が2012年7月にロンドンで口にしたあの有名なフレーズ、「必要なことは何でもやる」だ。

 この発言の後、ECBはアウトライト・マネタリー・トランザクション(OMT)プログラムを発表し、大砲を1発も撃つことなく世間のパニックを鎮めた。驚いたことに、2012年8月の初めに6.3%だったイタリア国債10年物の利回りは、今月初めにはわずか2.3%にとどまっている。スペイン国債10年物も、同じ時期に7.0%から2.1%に下がっている。どちらも現在の英国債の利回りを下回る水準だ。