本記事は9月2日付フィスコ企業調査レポート(ダイナック)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
馬目 俊一郎
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主力4ブランドを核にした高付加価値戦略で利益率向上へ

 ダイナック<2675>(以下:同社)は、「響」「鳥どり」「パパミラノ」「THE ROSE&CROWN」などの店舗ブランドを主軸に、サントリーグループにおける外食事業の中核を担っている。主な事業は、自社直営店やゴルフ場等のレストランを受託する「レストラン・バー」と、各種イベントなどへの食事提供や運営を手掛ける「ケータリング」のほか、サービスエリアなどでの売店運営等の「その他」に分類され、レストラン・バー事業が売上高と利益の大部分を稼ぎ出す。

 同社は2013年12月期より、2015年12月期を最終年度とする中期経営計画に取り組んでいる。中期経営計画最終年度の数値目標は、売上高が2013年12月期比で6,300百万円増の40,000百万円、経常利益は同900百万円増の1,600百万円を目指す。売上面では優良なブランドポートフォリオを活かし、参入障壁が高いサービスエリアや道の駅などの受託ビジネスを拡大させ、利益面では直営ビジネスの主力4ブランドを核にした高付加価値戦略で利益率の向上を目指す方針である。

 2014年12月期の第2四半期(1月-6月)決算は、売上高が前年同期比5.5%増の16,773百万円、経常利益は同289.5%増の145百万円、店舗数は前年同期末比1店舗増の245店舗であった。2014年2月の大雪など天候要因がマイナスに働くなか、倶楽部ダイナックによる集客効果で消費増税の影響を吸収するなど、既存店の好調に加え効率的な人員配置によるコスト管理が増益につながった。

 2014年12月期の会社計画は売上高が前期比6.2%増の35,800百万円、経常利益が同54.5%増の1,100百万円を見込む。期末の店舗数は前期末比14店舗増の252店舗を計画し、既存店の堅調な売上高推移と新規出店効果で利益目標を達成する方針である。

Check Point

●首都圏や近畿圏を中心に店舗数を着実に拡大
●第2四半期決算は計画未達も全形態で増収増益を達成
●高付加価値分野の業容・店舗数拡大をドライバに高収益構造へ

会社概要

首都圏や近畿圏を中心に店舗数を着実に拡大

(1)沿革

 同社の前身はサントリー(現サントリー酒類)との合弁で1958年に設立された新宿東京会館。1979年にサントリーの100%子会社となり、その後、洋酒サービスやシャトーリオンを取り込み、1988年にはサントリーレストランシステムの吸収合併で社名を現在のダイナックに変更。サントリーグループにおける外食事業の中核を担っている。

 以降、「燦」「鳥どり」「響」「THE ROSE&CROWN」など、現在の主力ブランドを順次立ち上げるとともに、GALA湯沢スキー場や山陽自動車道三木サービスエリアのレストラン出店で、レストラン運営受託でも実績を蓄積。なかでも、1998年の「響」第1号店は国内初のダイニングバーとして話題を集めた。