(2014年9月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国と米国の統計が世界の2大石油消費国の経済成長鈍化を示したことを受け、9月8日、ブレント原油の価格が2013年6月以来初めて1バレル100ドルの節目を割り込んだ。

 中国の8月の輸入が2カ月連続で減少したことは、住宅市場の冷え込みで悪化する需要減退が世界経済に次第に重くのしかかっているとの不安を煽った。

米中両国の景気減速への不安

武装勢力の攻勢でイラク石油開発に暗雲、世界市場にも影響

中東情勢の混乱で上昇していた原油相場が下げに転じている(写真はイラク・バスラの石油精製所)〔AFPBB News

 中国の統計は5日の米国雇用統計に続くものだ。8月の雇用統計では、月次の雇用者数増加が今年最低となり、世界最大の経済大国が勢いを増すかもしれないとの期待を打ち砕いた。

 原油の国際指標であるインターコンチネンタル取引所(ICE)のブレント原油先物10月物は、13カ月ぶりに象徴的な100ドルの大台を割り込んだ。取引途中の安値は99.36ドルと、2013年5月以来の安値をつけた。午後の取引では、前営業日比0.78ドル安の100.11ドルまで持ち直した。

 米国の原油指標であるニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油10月物は1.27ドル安の92.19ドルと、8カ月ぶりの安値をつけた。

 供給混乱に対する当初の不安は、6月半ばにブレント原油価格を115ドルまで押し上げたが、リビアやイラクでの地政学的な激変はこれまで生産に大きな影響を与えていない。実際、供給は増加した。

 加えて、利益率が低下する中で欧州の石油精製業者が操業を縮小したため、大西洋海盆と北海の余剰石油が北米での生産拡大の影響を増大させた。

 一方、市場参加者は、ロシアのエネルギー企業に対する経済制裁が意味のあるインパクトを持つことを完全には確信していない。

6月以降の下げは投機筋の動きが原因か

 コメルツ銀行のアナリスト、カーステン・フリッチ氏は、「市場は現在、『片耳が聞こえない』状況で、相場にマイナスの影響を与える報告を受け入れる意思があるように見えるため、原油価格は恐らく一段と下落するだろう」と語る。

 原油市場の観測筋は、6月以降の価格下落は、主に投機筋によってもたらされたものだと話している。