地域の活性化というテーマになると、「ゆるキャラ」の導入と並んで必ず挙げられる方策が「地域ブランド」の確立である。どちらも「言うは易く行うは難し」で、成功例はほんの一握りにすぎない。それでも、日本の各地で地域ブランドの取り組みが盛んなのは、このままでは「地域の消滅」になりかねないという危機感が強いからだろう。

 今回、紹介したいのは、沖縄で栽培した茶樹で作る紅茶を「琉球紅茶」として、日本だけでなく世界に通用する地域ブランドにしようとしている内田智子さん(48)の物語である。

 8月26日から9月20日まで、銀座三越の食品売り場の紅茶コーナーで、内田さんが経営する沖縄ティーファクトリー(本社・沖縄県沖縄市)の「琉球紅茶プロモーション」が開かれていた。筆者ものぞいてみたが、沖縄の紅茶ということに興味を持つのか、足を止めるお客も多く、内田さんらが熱っぽく語る沖縄の紅茶の魅力にひかれて、買い求める人たちも多かった。

銀座三越で開かれた「琉球紅茶プロモーション」(筆者撮影、以下同)

 沖縄ティーファクトリーの最高級の紅茶は「月夜のかほり」で、沖縄産の茶葉だけを使い、その新芽(ゴールデンティップス)をふんだんに用いているという。「月夜のかほり」は銀座三越の秋のフェア「月待ち講」の目玉商品の1つにもなった。40グラム5400円という高価な商品だったが、プロモーション期間が終わる前に完売したという。通常も限定販売なので予約待ちの状態だそうで、「琉球紅茶」のブランド力を見せつけるエピソードになっている。